
「本が読めるサンタバスです。いらっしゃい。私は本のおじいさんです」
16日午前11時、京畿道安城市(キョンギド・アンソンシ)のトンシン小学校。学校の運動場の隣の駐車場に止まっている「本が読めるバス」に、4年生の子供たち10人余りが駆けつけてきた。45人乗りのバスを改造したこの移動型図書館には、1000冊あまりの本がぎっしり詰まっていた。
ここで子供たちを待っていたのは、社団法人「小さな図書館を作る人々」のキム・スヨン代表(78)。キムさんは1987年、図書館づくり運動を始め、今年まで全国の文化疎外地域に387の図書館を作ってきた。今年だけで、全羅南道莞島郡(チョルラナムド・ワンドグン)、江原道平昌郡(カンウォンド・ピョンチャングン)など9ヵ所に新しい図書館を建てたり、既存の老朽化した図書館を改装した。2005年からは、図書館のない農漁村の村に移動型図書館に改造した「本が読めるバス」に乗って直接訪問した。馬羅島(マラド)、延坪島(ヨンピョンド)などを含め、年平均「本が読めるバス」の出動件数だけでも144回に達する。文化施設が足りないところに図書館を建て、移動図書館を運行してからもう37年になる。
そんな「本が読めるバス」は、12月になると「サンタバス」に変身する。運転席にサンタの服装を展示し、窓際と天井のあちこちにクリスマスの飾り付けをする。後部席には、プレゼントの箱も置いてある。キムさんは、「本のおじいさん」に変身し、子供たちに童話を読んであげる。この日、彼は、子供たちに読む絵本「本の虫のリンカーンが大統領になりました!」(生命の御言葉社)と1996年にノーベル賞を受賞したオーストラリアメルボルン大学のピーター・ドハーティー教授のインタビュー記事を手に持っていた。
手に本を持つより、スマートフォンに慣れている最近の子供たち。キムさんは、子供たちの目線に合わせて読書の重要性を話した。「私たちは知っている道を行けば、怖くもないし、恐ろしくもないじゃないか。でも、知らない道を行ったらどうなるか?緊張して何が起こるか分からないよね?同じように本を読めば、(自分自身が他の)人生を生きてきたように感じて、余裕を持って生きることができる。余裕を持って生きるのが幸せなんだ。だから本を読まなければならない」
子どもたちのための読書運動に身を投じたのには、訳がある。彼の次男は6歳の時に事故で亡くなった。「息子は本が好きだったが、まだ本を読む年齢になっていないと思って、『学校に入ったら、たくさん買ってあげる』と先送りした。それが一生の悔みになった。こうして子どもたちに会いに来ると、その中から息子を見る」。彼はその後、牧師になり、読書運動も始めた。
キムさんは、「本の中には、様々な人生の物語や知恵、技が入っている」とし、「本を読んで習得し、自分の人生に適用すれば知恵と余裕ができ、余裕は幸せを作ってくれるので、窮極的には幸せに暮らすことができる」と子供たちに話した。
キムさんは、タルムード、明心宝鑑、論語、道徳経を手のひらサイズのポケットブックに製作し、主要行事ごとに持ち歩きながら配ることもある。子供たちが、携帯しやすい本を持ち歩きながら読書習慣を作ってほしいという願いだ。「ユダヤ人の家庭では、眠る前に『10分読書』を鉄則にするといいます。ユダヤ人は世界人口の約0.2%しかいないのに、政治や経済、社会、文化などで大きな影響力を与えるのは、結局、幼い頃から身につけた読書の力ではないでしょうか」
キム・ソミン記者 somin@donga.com






