
「私たち全員が数多くの試練と苦難の中でも、ここまで来ることができたのは、目標を立てたからです」
先月24日、米ルイジアナ州ニューオーリンズにあるウォルターコーエン高校の卒業式。一人の黒人生徒が演壇に上がり、卒業生代表スピーチを始めると、皆が耳を傾けた。韓国の「青少年シェルター」のようなホームレス青少年保護所出身で、首席で卒業するイライジャ・ホーガンさん(19・写真)だ。
ホーガンさんが言った「試練」は、単なる比喩的な表現ではなかった。ホーガンさんはホームレス青少年保護施設「コヴェナントハウス」で1年半を過ごした。当時は学校を中退し、なんとかお金を稼ぐことだけを考えていた。
ホーガンさんは8歳の時に母親が亡くなって以来、楽な日々はなかった。3人の兄弟姉妹は親戚の家に引き取られバラバラになり、ホーガンさんは祖母に引き取られた。しかし2022年、「賃貸契約が満了した」と30日以内の退去通知を受け、祖母は介護施設に入った。高校生だったホーガンさんは行き場がなくなった。
ホーガンさんはコヴェナントハウスのドアを叩いた。ソーシャルワーカーのジャカイラ・コーブさんは、「当時、イライジャは非常に人見知りだった」と振り返った。ホーガンさんは一度も学校を欠席せず、美術科目で賞まで受賞した真面目な生徒だった。しかし、「どう見られるか怖くて」自分の心の内を出せなかった。
ホーガンさんを変えたのは、コーブさんらシェルターと学校の「メンター」たちだった。ウォルターコーエン高校は、生徒の95%以上が経済的脆弱層に属していた。英語教師のロバート・マクグリフさんは、「イライジャのような状況に置かれている子どもたちの多くが最終的に路頭に迷う」とし、「イライジャも学業を諦めようとしたが、最終的に乗り越え、大きな成長を遂げた」と語った。
周囲の助けを受け、ホーガンさんは徐々に心を開き始めた。4日、米紙ワシントン・ポストなどによると、評点3.96で学業を終えたホーガンさんは、ザビエル大学ルイジアナ校のデザイン芸術学科に全額奨学生として合格した。
ホーガンさんは、自分が成し遂げることができたのは、出会えた保護施設とメンターたちのおかげだと語った。同紙のインタビューで、「自分の限界があっても諦めないでほしい」と話した。
「肌の色が何色であれ、どこに住んでいようとも、あなたは人生という本の主人公であり、作家です。その物語を自分自身で綴っていってほしい」
洪禎秀 hong@donga.com