
トランプ前米大統領が11月の大統領選挙で再選に成功すれば、電気自動車(EV)大手、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO・写真)を大統領顧問に正式に任命するという提案をしたと、米紙ウォールストリート・ジャーナルが29日付けで報じた。各種民事・刑事訴訟で選挙資金に悩まされているトランプ氏が富裕層に向かい、彼らが持っていない「公職」を餌に資金支援を要請しているようだ。
同紙によると、トランプ氏とマスク氏は今年3月、フロリダ州パームビーチにある、共和党の有名な寄付者でユダヤ系億万長者のネルソン・ペルツ氏の邸宅でこのような内容を話し合った。当時、マスク氏がトランプ氏に経済関連政策だけでなく、国境の安全保障及び不法移民対策に関しても様々な提案をしたという。
この席でマスク氏は、バイデン氏が導入したインフレ抑制法(IRA)を維持してほしいという意向も明らかにしたという。北米で生産された電気自動車に補助金を与える政策で、テスラが主な受益対象だ。一方、バイデン政権の電気自動車育成政策に否定的で、石油企業など伝統的なエネルギー業界の強い支持を受けているトランプ氏は、再選すればIRAを破棄すると何度も公言している。
マスク氏は、大統領選挙の不正投票や不正開票を防止するための計画も提案したという。この会談後、マスク氏はトランプ氏の携帯電話に頻繁に電話をかけ、親密な関係を維持していると、同紙は伝えた。
マスク氏は最近、カリフォルニア州ロサンゼルスでメディア財閥のルパート・マードック・ニュース・コーポレーション名誉会長、トランプ政権時に財務長官を務めたスティーブ・ムニューシン氏らと会い、今年の大統領選挙でトランプ氏を支援する方法も話し合った。
2人の関係は、良い時も悪い時もあった。マスク氏は、トランプ氏が2016年の大統領選挙で勝利した後、ホワイトハウスの諮問グループに属していた。しかし、トランプ政権が政権初年度の17年、「パリ協定から脱退する」と明らかにすると、反発して諮問役を辞任した。その後、両者は何度も公の場で批判を交わした。
イ・ジユン記者 asap@donga.com