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AIが野球を変えた、世の中はどう変えるだろうか

AIが野球を変えた、世の中はどう変えるだろうか

Posted May. 25, 2024 08:40,   

Updated May. 25, 2024 08:40

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野球は投手の遊び、その中でも先発投手ゲームだ。崔東原(チェ・ドンウォン)と宣銅烈(ソン・ドンヨル)の最後の先発対決を扱った映画(パーフェクトゲーム)の存在がこれを裏付ける。1987年5月16日に行われた実際の試合で、崔東源(209球)と宣銅烈(232球)のいずれも200球以上投げた。

今は1試合で100球を投げる投手も見当たらない。23日まで、今年の韓国プロ野球の試合で先発投手が100球以上を投げた割合は19.4%(494試合のうち96試合)に過ぎない。同期間、米大リーグは11.5%(1490回のうち171回)でもっと低い。2010年だけでも、大リーグ先発投手の半分程度(49.7%)は100球以上投げてマウンドを降りた。

先発投手が過去に比べて投球数が減ったのは、「ビッグデータ」のためだ。米国のデータ科学者セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツは、2017年に出した著書「私たちは皆嘘をつく」の中で、「野球は、ほとんどすべてのことに対する包括的データセットを保有した最初の分野であり、一塊のスマートな人たちがデータを理解するのに喜んで一生を捧げた」と書いた。そしてこのスマートな人たちが作った人工知能(AI)は、「先発投手にマウンドを長く任せるのは効率が落ちる」と結論を下した。

AIはまた、野球を「投げて打って走る種目」から「投げて打つ種目」に変えた。データ解析の結果、盗塁や「もう一ベース進む」走塁プレイは、期待ほど効果が大きくなかったからだ。その代わり、本塁打や三振、四球のように投手と打者の間で勝負が終わるプレーが増えた。

AIが野球をこのように「より滑らかに」作ると、「野球が面白くなくなった」という話があちこちから聞こえ始めた。観客数もテレビ視聴率も減った。これを受け、メジャーリーグ事務局は、投球制限時間を導入し、ベースサイズを大きくすることで、野球を再び「ホコリが飛ぶ種目」に変えようと努力している。負傷のような事情がなければ、先発投手は無条件6回以上投げるよう強制する案も検討している。

ダヴィドウィッツの本は、「今はほとんどすべての分野が、そのように(野球のように)変わっている。野球が先頭に立って、他のすべての分野がそれに続いた。セイバーメトリクス(野球統計学)が、世の中を飲み込んだ」という内容につながる。そのような意味で、生成型AI「チャットGPT」を作ったオープンAIのサム・アルトマン設立者は、選手たちの記録がぎっしりと書かれた「野球カード」の収集狂だったということは偶然ではないかもしれない。

オープンAIのミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)は、人のように見て聞いて話す「チャットGPT-4o」を発表し、「人々がチャットGPTをよりよく活用できるよう、摩擦を減らすことに焦点を合わせた」と強調した。野球がそうだったように、AIもやはり「滑らかに、より滑らかに、それよりさらに滑らかに」を目指している。

それなら、AIも次の段階の時は野球のように「ホコリ」を追求する方向に発展していくのではないか。私たちを人間にするのは、信号が入ったイメージのみ選び出す能力ではなく、人との間で生じる摩擦と共に生きていく力だからだ。