スポーツで精神力が最も重要な価値なのであれば
Posted December. 27, 2023 08:11,
Updated December. 27, 2023 08:11
スポーツで精神力が最も重要な価値なのであれば.
December. 27, 2023 08:11.
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「委員長同志が『卵を思想で満たせば岩も割ることができる』という教えをくれた。我々はそのような徹底した思想でアジア大会で世界新記録を打ち立てた」北朝鮮の重量挙げの「英雄」オム・ユンチョル(32)は2014年の仁川(インチョン)アジア大会重量挙げ男子56キロ級で世界新記録(298キロ)を樹立して金メダルを獲得した後、こう話した。ここでオム選手が言った「委員長」とは、もちろん北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のことだった。オム選手は2012年ロンドン五輪でも同階級で金メダルを獲得している。オム選手と再会したのは、2年後のブラジル・リオデジャネイロ五輪でのことだった。オム選手は五輪2連覇に挑戦したが、結果は銀メダルだった。北朝鮮選手の中で最も確実な金メダル候補に挙げられていたオム選手が目標達成に失敗すると、北朝鮮の崔竜海(チェ・リョンヘ)国家体育指導委員長が激怒する姿がカメラに撮られた。オム選手も「金メダルを取れなかったから英雄ではない」とうなだれた。オム選手を通訳していた外国人ボランティアは、「北朝鮮では時計の針が逆に回っているようだ」と話した。北朝鮮の「体操英雄」リ・セグァン(38)がこのボランティアの評価をもう一度立証した。リ選手はリオ五輪男子跳馬で1位になった後、「我々の最大の力は精神力だ。精神力のおかげで今日の金メダルが実現した」とし、「わが軍隊と人民に大きな勝利をもたらし、敬愛する金正恩最高司令官同志に勝利の報告、栄光の報告を差し上げることができると思うととても嬉しい」と話した。そうだ。スポーツの世界で精神力が最も重要な価値なら、北朝鮮が優勝を総なめするだろう。北朝鮮の労働新聞は今年2月28日にも「限界のない力、精神力」という見出しの記事を掲載し、「小銃にも思想をいっぱい装填すれば、いかなる現代的な武器よりも大きな威力を発揮できる」と主張した。当たり前のことだが、話にならない。卵で岩を割ることができないのは精神力が足りないからではなく、それが科学法則だからだ。そして韓国が「エリートスポーツ」強国の地位を享受できたのも韓国スポーツ科学が世界的な水準だったからだ。生活スポーツの底辺が韓国とは比べ物にならないほど広い日本も、韓国スポーツ政策科学院を真似て日本国立スポーツ科学センター(JISS)を設立した後、エリートスポーツ強国の地位を取り戻すことができた。だから、大韓体育会が来年パリ五輪を新たな跳躍の舞台にしたかったなら「科学的トレーニング法」と「科学的戦略」から検討すべきだった。ところが大韓体育会は李起興(イ・ギフン)会長が杭州アジア大会が終わった後に公言した通り、「精神力を強化する」として選手たちを「海兵隊キャンプ」に送った。柳仁村(ユ・インチョン)文化体育観光部長官まで「旧時代的発想」と批判したが、体育会は18日から2泊3日間、「ワンチームコリア」イベントを強行した。李会長が北朝鮮の体育委員長なら、パリ五輪でメダルを取った選手は「委員長同志のおかげで…」で始まる感謝の言葉を残すかもしれない。しかし、実際にこんな言葉を口にする韓国代表選手が出るのなら、「今度は韓国でも時計が逆回転しているようだ」と言われたりはしないだろうか。
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「委員長同志が『卵を思想で満たせば岩も割ることができる』という教えをくれた。我々はそのような徹底した思想でアジア大会で世界新記録を打ち立てた」
北朝鮮の重量挙げの「英雄」オム・ユンチョル(32)は2014年の仁川(インチョン)アジア大会重量挙げ男子56キロ級で世界新記録(298キロ)を樹立して金メダルを獲得した後、こう話した。ここでオム選手が言った「委員長」とは、もちろん北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のことだった。オム選手は2012年ロンドン五輪でも同階級で金メダルを獲得している。
オム選手と再会したのは、2年後のブラジル・リオデジャネイロ五輪でのことだった。オム選手は五輪2連覇に挑戦したが、結果は銀メダルだった。北朝鮮選手の中で最も確実な金メダル候補に挙げられていたオム選手が目標達成に失敗すると、北朝鮮の崔竜海(チェ・リョンヘ)国家体育指導委員長が激怒する姿がカメラに撮られた。オム選手も「金メダルを取れなかったから英雄ではない」とうなだれた。オム選手を通訳していた外国人ボランティアは、「北朝鮮では時計の針が逆に回っているようだ」と話した。北朝鮮の「体操英雄」リ・セグァン(38)がこのボランティアの評価をもう一度立証した。リ選手はリオ五輪男子跳馬で1位になった後、「我々の最大の力は精神力だ。精神力のおかげで今日の金メダルが実現した」とし、「わが軍隊と人民に大きな勝利をもたらし、敬愛する金正恩最高司令官同志に勝利の報告、栄光の報告を差し上げることができると思うととても嬉しい」と話した。
そうだ。スポーツの世界で精神力が最も重要な価値なら、北朝鮮が優勝を総なめするだろう。北朝鮮の労働新聞は今年2月28日にも「限界のない力、精神力」という見出しの記事を掲載し、「小銃にも思想をいっぱい装填すれば、いかなる現代的な武器よりも大きな威力を発揮できる」と主張した。当たり前のことだが、話にならない。卵で岩を割ることができないのは精神力が足りないからではなく、それが科学法則だからだ。
そして韓国が「エリートスポーツ」強国の地位を享受できたのも韓国スポーツ科学が世界的な水準だったからだ。生活スポーツの底辺が韓国とは比べ物にならないほど広い日本も、韓国スポーツ政策科学院を真似て日本国立スポーツ科学センター(JISS)を設立した後、エリートスポーツ強国の地位を取り戻すことができた。だから、大韓体育会が来年パリ五輪を新たな跳躍の舞台にしたかったなら「科学的トレーニング法」と「科学的戦略」から検討すべきだった。
ところが大韓体育会は李起興(イ・ギフン)会長が杭州アジア大会が終わった後に公言した通り、「精神力を強化する」として選手たちを「海兵隊キャンプ」に送った。柳仁村(ユ・インチョン)文化体育観光部長官まで「旧時代的発想」と批判したが、体育会は18日から2泊3日間、「ワンチームコリア」イベントを強行した。
李会長が北朝鮮の体育委員長なら、パリ五輪でメダルを取った選手は「委員長同志のおかげで…」で始まる感謝の言葉を残すかもしれない。しかし、実際にこんな言葉を口にする韓国代表選手が出るのなら、「今度は韓国でも時計が逆回転しているようだ」と言われたりはしないだろうか。
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