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混乱続く医学部定員拡大問題、結論に至る過程が重要だ

混乱続く医学部定員拡大問題、結論に至る過程が重要だ

Posted October. 18, 2023 08:37,   

Updated October. 18, 2023 08:37

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19日、医学部の定員拡大発表を予告していた政府が、同日は拡大の方向性だけを明らかにし、具体的な増員規模は公開しない計画だという。政府の医学部増員の発表を控え、当初議論されていた300~500人台をはるかに上回り、1000人以上増やす案が有力だという見通しが提起された。ところが発表に迫り、専門家と政府内でも意見が分かれ、追加の議論が必要だという理由でまた別の話が出ている。17年間凍結されていた医学部の定員を増やす事案の重大性に比べ、政策を扱う姿が軽すぎるのではないか。

医師数を増やさなければならない理由は、統計数値を挙げなくても、痛くて病院に行ったことのある人たちは皆体感している。しかし、医師をどれだけ増やすのが適正かを判断することは、専門家の領域だ。出生率が激減し、高齢者が急増する人口変化をすべて考慮して医療需要を予測しなければならず、予測された医療需要と医師教育インフラを考慮して毎年どの程度増員するかを決めなければならない。医師養成に少なくとも10年間がかかる間、直ちに必須医療と地方医療の空白をどのように埋めるかの対策も立てなければならない。保健福祉部が医政協議体と医師人材専門委員会を構成して、医師増員策などについて議論してきた理由だ。

ところが医学部増員発表を控え、突然「1000人」という数字が飛び出した。高齢化で2035年には医師数が1万人不足するという見通しのほかに、なぜ1000人なのかの根拠もなかった。大統領が福祉部長官から報告を受けて、1000人以上を指示したというマスコミの報道が出ただけだ。直ちに医師団体は、政府が一方的に推し進めているとし、強硬対応を予告した。全国40の医学部は、学生が急に増えれば教育の質が低下し、患者に被害が及ぶと懸念しており、理工系は医学部への偏りで他の科学技術分野の教育は焦土化するだろうと懸念している。

医学部の増員は、医師という強力な利害集団が存在し、教育分野と国民の日常に及ぼす影響も甚大だ。金大中(キム・デジュン)政府が、医学部定員削減のために大統領直属の医療制度発展特別委員会を設置して、6ヵ月間激しい議論を経た理由だ。今は定員を増やすはるかに難しい仕事をしている。信頼できる議論構造の熟議を経てこそ、その政策は権威を持って実行できる。医学部の増員は、稼動中の会議体の結論から待たなければならない。医師団体も責任を持って議論に参加し、合理的な医学部増員計画と医療資源の効率的配分のための補償体系を用意することを期待する。