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いつも笑う男

Posted December. 29, 2021 08:35,   

Updated December. 29, 2021 08:35

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「特権の父親は誰ですか。偶然です。特権の息子は誰ですか?濫用ですよ」。ヴィクトル・ユゴーの名作「笑う男」に出てくる言葉だが、特権も偶然に持つようになっただけだから、濫用するなという意味だ。小説の背景は、ユニークなことに英国だ。貴族たちは上院に投票するために集まった。女王の夫の歳費を10万ポンドさらに引き上げる法案のためだ。審査も終わり、投票だけが残った。普通なら満場一致で可決される。しかし、今日は違う。先日までは芸人だったが、貴族になった人が反対票を投じる。特権に関する比喩は、彼が反対理由を説明する際に使った表現だ。貧しい人々は飢え死にしても葬儀を行うお金がないのに、金持ちをもっと金持ちにし、貧しい人をもっと貧乏にする法案を可決させようとするなんて…。そんな金があれば、貧しい人々に分け与えということだ。「皆さんが票決する税金を、誰が払うのかご存じですか。死にかけている人たちです!」

彼が社会的弱者を代弁するのは、貧しさと苦痛、恥辱と侮蔑感に苦しむ人生を自ら生きたからだ。彼は自分の父を憎む王の指示で、2歳の時に拉致され凶悪な放浪集団に売られた。彼らは手術で彼の顔を奇形にした。誰にも気付かれないようにし、物乞いや道化師をやらせるためだった。彼の顔がどんな状況でも笑う姿になった理由だ。それで笑う男だ。彼は歳月が流れ、偶然のきっかけで貴族の息子であることが明らかになり、爵位を継ぐ。彼が貴族たちで構成された上院に出席することになった理由だ。しかし、特権をあまりにも当たり前に思う貴族たちは、彼の醜い顔をからかうだけで、彼の心の奥底から出てくる言葉に耳を傾けない。「皆さんの下には、いや、もしかしたら皆さんの上に民がいます」

彼の強要された笑いは、内心は泣くが表向きは笑う貧しい人々の笑い、いや涙に対する隠喩だ。しかし、フランス作家の小説が、なぜ英国を背景にするのだろうか。世の中はどこも同じだから。