「腐敗し無能な勢力の執権延長と国民略奪を阻止しなければならない。政権交代を熱望するすべての人々と力を結集して必ず成し遂げる」
検事総長辞任から118日ぶりに姿を現し、29日に大統領選への挑戦を公式に宣言した尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長は、決然たる表情と強い表現で文在寅(ムン・ジェイン)政府を批判した。尹氏は「政権と利害関係で絡み合った少数の利権カルテルが権力を私有化した」とし、現政権の核心勢力である「586運動圏」を批判し、「政権交代」を至上課題として「公正と常識の回復」をビジョンに掲げた。
●尹氏、「無道な政権の形態...独裁であり専制」
ソウル瑞草区(ソチョク)の梅軒(メホン)尹奉吉(ユン・ボンギル)義士記念館で行われた尹氏の大統領選出馬記者会見の半分ほどは、所得主導成長、不動産政策、検察改革、脱原発など文政府の核心政策に対する批判に割かれた。尹氏は、「経済の常識を無視した所得主導成長、市場と争う住宅政策、法を無視して世界一流の技術を死蔵させた脱原発、買票に近いポピュリズム政策で、多くの若者、自営業者、中小企業者、低賃金労働者が苦痛を受けた」と強調した。そして、「政府の負債の急増で、まともな雇用も探せない若者世代が途方もない未来の負債を抱え込んだ。若者の挫折は、大韓民国を人口絶壁に追い込んでいる」とし「2030世代」に訴えた。
また、「国民を敵味方に分けて常識と公正、法治を放り出し、国の根幹を破壊し、国民を挫折と怒りに陥れた」とし、「政権は権力を私有化することに止まらず、政権を延長して引き続き国民を略奪しようとする。責任意識と倫理意識が麻痺した食物連鎖を構築した」と批判した。また「彼らは韓国憲法の根幹である自由民主主義から『自由』を取り外そうとする。自由のない民主主義は本当の民主主義ではなく、独裁であり専制だ。到底、これらのことを放置することはできない」とし、「すべての国民と勢力は力を結集して、必ず政権交代を成し遂げねばならない」と強調した。
尹氏は記者会見を通じて、大統領選に挑戦する最大の理由が文政権の失政審判と政権交代であることを明確にした。これは反文(反文在寅)勢力の政権交代の熱望を満たすと共に、検事総長を辞任して大統領選に直行することに対する政治的論議を意識したものとみられる。
● 「予測可能な法治で技術革命を」
尹氏は記者会見で、「常識」という表現を8回、「自由」を計22回使い、国家観と未来ビジョンも提示した。尹氏は、「新たな技術革命時代の挑戦を克服するには、科学技術と経済社会制度の革新が必須だ」とし、「革新は自由で創意的な思考、自律的な雰囲気、公正な機会と補償、予測可能な法治から生まれる」と主張した。
尹氏は、政府の対米・対中外交を念頭に、「国際社会でも大韓民国が文明国家の普遍的価値に基づいているという明確な立場を示さなければならない」とし、「大韓民国がどのような国なのか確固たるアイデンティティを示し、敵と友、競争者と協力者いずれにも予測可能性を示さなければならない」とも述べた。膠着した韓日関係については、「外交は実用主義の『実事求是(事実の実証に基づいて、物事の真理を追求すること)』、現実主義に立たなければならないのに、理念偏向的な『竹槍歌』を歌ってここまで来た」と指摘した。
住宅政策については、「総合不動産税を全面的に見直すべきであり、総合不動産税の世論が良くないので富裕層だけにするから心配するなと言っている」と批判した。福祉と成長については、「持続可能性が重要だ」と述べた。
張寬錫 jks@donga.com · 全主榮 aimhigh@donga.com