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誰も泣かなかったコロナ孤独死

Posted June. 17, 2021 08:09,   

Updated June. 17, 2021 08:09

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韓国内で昨年1月20日、新型コロナの最初の感染者が出た後、これまで2000人近くが命を失った。この中には誰からも看取られることなく孤独に去った「コロナ孤独死」もある。長い間連絡を絶ち、一人暮らしを続けてきた彼らの死亡ニュースは、残された家族らにも負担となった。「兄と情を交わしたことがない」として遺骨引き取りを拒否した弟、法的に家族ではないため母親の葬儀は難しいという実の娘…。縁故のないコロナ死亡者たちの逝く道は寂しかった。

コロナ孤独死は、韓国国内ではまだ統計には出ていない。孤独死の実態調査と統計作成を義務付けた「孤独死予防及び管理法」が今年4月1日に施行され、まだ実態調査さえ行われていないためだ。東亜(トンア)日報ヒーローコンテンツチームが無縁故コロナ死亡事例を取材したところ、精神疾患の治療機関や考試院などの密集施設でコロナ孤独死が出た。考試院で一人暮らしをしていて感染判定を受けた50代の男性は、考試院の仲間たちへの感染を心配していて、死亡後、遺族の遺体引き取り拒否により一人で火葬された。

一部の考試院は、孤独な人々が集まって住む刑務所と大差なかった。1階に泊まっていた24人のうち6人がコロナに感染したソウル東大門区(トンデムング)のとある考試院は、共同キッチンとトイレ以外の空間には換気設備がなかった。1坪余りの部屋がくっついて密集・密接・密閉など「3密」環境で感染に脆弱だった。居住者の大半は60代以上で、定職が無く日雇いで暮らしてきた。

コロナ孤独死の危険は至る所にある。急速に増えている国内の1人世帯は、昨年基準で全世帯の30.4%を占めている。また、1人世帯の61.1%は50代以上の中高年層だ。コロナにかかり、一人で病んで死んでも、周りから気が付かないこともある。1970年代から孤独死問題が浮き彫りになった日本では、一人暮らしの高齢者だけでなく、定年退職したり、隣人との交流が足りない一人暮らしの男性など、50代や60代の中高年層も、「孤独死危険群」に分類して管理している。英国は孤独を社会的感染症と定義し、孤独に対し担当大臣を置いて政府レベルで支援している。

一般的に災害は不平等を強化する。特にコロナという未曾有の感染災害は福祉の死角地帯を生みやすい。単身世帯、高齢者同士が暮らす世帯の安全を定期的に確認する社会セーフティネットの構築が切実だ。これを通じて社会的孤立感を感じる人が見つかれば、公共サービスで面倒を見なければならない。経済事情の悪い高齢者が集まって過ごす考試院とドヤ街についても、コロナ感染の危険性を綿密に点検しなければならない。緊急状況を事前に管理する予防的福祉を全面的に広げてこそ、寂しいコロナ孤独死を防ぐことができる。