
すでに9億回分以上の新型コロナウイルスのワクチンを確保した米国が、製薬大手ファイザーと最大1億回分のワクチンを追加契約するものとみられる。こうなれば、米国はファイザーとモデルナのワクチン契約量だけでも来年上半期までに集団免疫の達成に必要なワクチンを確保することになる。米国は他の種類のワクチンに対する追加承認も検討中だ。インドはアストラゼネカ、欧州はモデルナのワクチン承認を検討している。新型コロナウイルスの変異種の感染拡大など今後の見通しが不透明になり、各国がワクチンを最大限確保するために全力を傾けている。
米紙ニューヨーク・タイムズは22日(現地時間)、トランプ政権とファイザーがこのような内容で協議を行っており、近く契約を締結する予定だと報じた。米政権は来年4~6月中にファイザーのワクチン1億回分を追加要請し、ファイザーは少なくとも7千万回分は供給できると明らかにしたという。
すでに米国は、ファイザー(1億回)とモデルナ(2億回)、アストラゼネカ・オックスフォード大(3億回)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(1億回)の計9億回分以上のワクチン供給契約を結んだ。
すでに当局の承認を受けたファイザーとモデルナの契約量は来年6月まで計3億回分。もしファイザーと1億回分の追加契約がなされれば、2つの製薬会社のワクチン供給量は計4億回分に増える。1人当たり2回接種が必要であることを考慮すると、米国民2億人が接種できる量だ。同紙は、「ファイザーとモデルナのワクチンの接種対象が16歳、18歳以上ということから、米国民の接種対象は約2億6千万人」と推算した。このうち2億人が接種を受ければ77%に該当する。現在開発中の他のワクチンの臨床試験に問題が生じ、追加のワクチン供給ができなくても集団免疫が可能な水準だ。
米政権は、ファイザーと追加供給契約のために国防生産法(DPA)を発動する予定だという。DPAは、国家安全保障などを理由に、重要な素材や製品の生産を拡大する権限を大統領に与える法律。トランプ政権はDPAを適用して、ファイザーがワクチンを作るのに必要な材料を確保できるよう支援する方針だ。韓国戦争の支援のために制定された法律で、トランプ政権は新型コロナウイルスの感染が拡大した今年4月にもDPAを発動し、マスクと人工呼吸器の生産量を増やした。トランプ大統領は8日、「ワクチンサミット」でも、「米国民のワクチン供給に問題が生じればDPAを発動する」と明らかにした。
また、インドは早ければ来週、英製薬会社アストラゼネカのワクチンを承認し、来月接種を始める予定だと、ロイター通信が報じた。インドがアストラゼネカのワクチンの承認を決定すれば、世界で初めて。国際統計サイト「ワールドメータ」によると、インドの新型コロナウイルス感染者は最近、米国に次いで2番目に多く、1千万人を超えた。
これに先立ち、欧州連合(EU)も21日、ファイザーのワクチンを承認し、欧州国家が早ければ今週末から接種を開始する計画だ。EUは当初、ファイザーのワクチンを承認するかどうか来週に決める予定だったが、日程を操り上げた。新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむ加盟国がワクチン供給を急がなければならないと提言したためだ。EUは年明けにモデルナのワクチンも承認するかどうか決める計画だ。
兪載東 jarrett@donga.com






