Go to contents

北朝鮮の警告は「脱北者のせい」、低姿勢で何が得られるのか

北朝鮮の警告は「脱北者のせい」、低姿勢で何が得られるのか

Posted June. 11, 2020 08:14,   

Updated June. 11, 2020 08:14

한국어

北朝鮮が、北朝鮮へのビラ散布を理由に南北間の通信を遮断し、追加措置を警告している中、政府与党は責任を脱北者に転嫁している。統一部は10日、脱北者団体2ヵ所を交流協力法違反で告発し、法人設立許可の取り消し手続きに入った。与党「共に民主党」の金太年(キム・テニョン)院内代表は10日、「今回の事態は、脱北者団体の北朝鮮へのビラ無断散布に触発された」とし、「対北朝鮮ビラ禁止立法をつくる」と明らかにした。北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長にビラ散布を阻止する法を作れと言われ、統一部に続き与党まで直ぐに応じた形となった。

北朝鮮は、脱北者団体が散布したビラを問題視した。金正恩(キム・ジョンウン)党委員長を偽善者と非難する印刷物を飛ばすことは、北朝鮮の過激な対応に口実を与えた面がある。だからといって政府与党が彼らを説得することもせず、法で阻止し処罰するということは、本末転倒の処置と言わざるを得ない。北朝鮮住民も外部の状況を知る権利があるという国連人権委員会の方針に反する反人権的な振る舞い言わざるを得ない。

北朝鮮の南北関係中断の圧力は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対北朝鮮構想にブレーキをかける障害だ。しかし、そこから脱するために北朝鮮の注文に従うような政府与党の焦った態度では、南北関係だけをさらに歪曲させることになる。北朝鮮の狙いは、韓国への圧力を通じて大統領選だけに没頭するトランプ米大統領の関心を引き出すことであり、ビラ散布はこのための言い訳だろう。北朝鮮の内心を読み誤ってその言い訳を解消してやっても、南北関係は良くならない。

政府与党がこのような低姿勢の振る舞いを続けるなら、北朝鮮も韓国に神経を使わず見くびるだろう。北朝鮮だけを見つめて韓米同盟を疎かにし、韓国社会内部の対立を後方に追いやっては、文氏の「南北関係と米朝関係の好循環」の構想は消え、悉く北朝鮮の要求に従う悪循環が続くということを肝に銘じなければならない。北朝鮮に対する戦略アプローチを慎重に再整備する時だ。