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対北朝鮮食糧支援が「挑発への補償」になってはならない

対北朝鮮食糧支援が「挑発への補償」になってはならない

Posted May. 09, 2019 08:55,   

Updated May. 09, 2019 08:55

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7日夜、トランプ米大統領との電話会談で、北朝鮮が非核化対話の軌道から離脱しないよう早期の交渉再開に向けて話し合った。トランプ氏は韓国の北朝鮮に対する人道的食糧支援計画に対して、「非常に適切で肯定的な措置になるだろう」と述べたと、大統領府は伝えた。しかし、ホワイトハウスは、食糧支援については言及せず、両首脳が「最終的で完全に検証された非核化(FFVD)」達成の方法について話し合ったとだけ明らかにした。

大統領府とホワイトハウスの発表の相違が示すように、北朝鮮への食糧支援はその方式や規模、時期など何も決まっていないようだ。にもかかわらず、大統領府が、トランプ氏が支持の考えを明らかにしたとし、食糧支援の方針を急いで公式化したことに疑念を抱かざるを得ない。人道的次元の食糧支援は、最近の北朝鮮住民の苦しい事情を考えると、必要な措置だろう。国際機関が最近発表した報告書によると、北朝鮮人口の40%の1010万人が食糧不足状態にある。ハノイでの米朝首脳会談の決裂後、対話を拒否する北朝鮮の態度変化を誘導するカードになり得る。

しかし、北朝鮮が短距離兵器の発射に出たことで、食糧支援を公式化することが果たして適切なのか問わざるを得ない。北朝鮮に「誤った信号」を与える恐れがあるためだ。強硬挑発にもかかわらず食糧支援を受ければ、北朝鮮はこれを挑発を通じて勝ち取った戦利品と考えるにちがいない。過去、北朝鮮は核開発と武力挑発を強行しながらも、韓国と国際社会から食糧を得る特有の「猪八戒外交」を行った。

さらに政府は、北朝鮮の明白な挑発行為にもかかわらず「ミサイルと見ることは難しい」、「単純訓練」とし、北朝鮮を庇うことに汲々としている。このような状況で、北朝鮮に食糧まで送るなら、頬を殴られても何事もなかったかのように贈り物をするも同然だ。さらに、それを眺める国民の羞恥心はいかばかりか。対北朝鮮食糧支援は必要だが急ぐことはない。すべてのことには順序がある。少なくとも、北朝鮮政権の挑発に対して問うべきことは問い、同胞に対する人道的支援に乗り出さなければはらない。