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[オピニオン]私の心の星、独孤濁

Posted January. 05, 2016 07:28,   

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1970年代のイ・サンムの野球漫画『独孤濁(トクコ・タク)』はホ・ヨンマンの『カクシタル』と共に、私が小学生の頃、同じ年頃の子供たちを魅了した漫画だ。教科書以外の本は読んだことがない子供たちが出版物で発見した意外な楽しみだった。漫画店に毎日のように通い、多くの漫画を読んだが、この2つの漫画が唯一記憶に残っている。どちらか好きな方を挙げるなら、『独孤濁』だ。『カクシタル(嫁仮面、の意)』では良いカクシタルと悪い日本警察という対立が読んでいるうちに飽きてくるが、独孤濁では反抗的だが多感な独孤濁と誠実だが冷静な独孤ジュンの葛藤が、多層的な響きを持つ。

◆韓国漫画史にも時折、黄金時代があったようだ。『独孤濁』と『カクシタル』の後、それほど大きな関心を引く漫画に出会えなかった。しかし、大学時代、李賢世(イ・ヒョンセ)の『恐怖の外人球団』と朴峰性(パク・ポンソン)の『神の息子』が出た時、また漫画にはまった。特に『恐怖の外人球団』は、最初に何冊か借りて読み、最後まで読まずには寝られず、夜遅くシャッターを下ろした漫画店のドアを叩いて残りを全部借りて呼んだことが思い出される。

◆漫画は第九の芸術とも言われる。世代ごとにその世代の漫画がある。最近は、ウェブトゥーンが漫画に取って代わっている。ユン・テホの『未生』やチェ・ギュソクの『錐』のような人気ウェブトゥーンはテレビドラマにもなった。「『独孤濁』と『カクシタル』の前には、金龍煥(キム・ヨンファン)の『コジュブ三国志』や金星煥(キム・ソンファン)の『コバウおじさん』のような4コマ新聞漫画が人気を呼んだという。女性には少女漫画の『キャンディ・キャンディ』や『ベルサイユのバラ』、『北海の星』などにそれぞれの思い出があるだろう。

◆『独孤濁』は、私の同じ年代の子供たちにとっては単なる漫画以上だった。英国の少年は、ロバート・スティーヴンソンの『宝島』、フランス少年はジュール・ヴェルヌの『15少年漂流記』、米国の少年はマーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』を読んで逆境の中でも挫折せず勝ち進む意志を学んだ。私たちにはそれに匹敵する少年小説がなかった。『独孤濁』の奮闘がその空白を一部満たした。3日、作業部屋で漫画を描きながら亡くなった故人に遅ればせながら感謝の言葉を伝えたい。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委 pisong@donga.com



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