昨日追加されたMERS患者8人のうち、2人は三星ソウル病院の放射線技師と江東慶熙(カンドン・キョンヒ)大学病院の研修医だ。放射線技師はMERS患者の撮影のため、研修医は救急室に運ばれてきたMERS患者と接触したため、医療現場の最前線で感染したのだ。これまで感染陽性判定を受けた患者162人のうち、医師や看護師、医療技師などの医療人の感染は15件、介護人の7件まで合計すれば、その比率が13.5%に上る。MERSは、飛沫による伝播であり、一般人が地域社会で感染する確率は極めて低いが、患者を対面治療する医療人たちは、常時、ウイルスに露出する危険にさらされている。
数百人の医療人が自宅や病室に隔離され、窓のない刑務所生活を送っている。病棟でMERS患者を治療したり、選別する作業に当たる医療人は、毎日戦場にいる。防護服に防菌マスクをつけ、二重手袋や二重シューズカバーを履いても安心できない状況のなかで、患者の状態を頻繁にチェックしなければならない。患者が危機的状況に置かれれば、徹夜をするのも日常茶飯事だ。防護服の中は瞬く間に汗まみれになるが、防護服は一度脱いだら、捨てなければならない上、着るのに10分以上もかかるため、なかなか脱ぐこともできない。医療人も人間であり、死の恐怖を感じないわけがない。にも拘わらず、ヒポクラテス宣誓をした医師やナイチンゲール宣誓をした看護師という召命意識一つで、その本分を全うしている彼らから、MERS克服の希望を目にする。
彼らが耐え難いのは、ひょっとするとMERSに感染したかもしれないという周りの冷たい視線だ。一部では感染を懸念して、医療人の子供を学校に来させなかったり、医療人の家族だという理由で、日常生活でも村八分にされることが起こるというのは、あきれるばかりだ。MERS戦士を応援するどころが、その子供まで差別し、迫害するのは、共同体を考える最小限の良識すら持っていない非常識な行動だ。
ある面では、MERS事態の最大の被害者は病院や医療人だ。にもかかわらず、病院はMERSの宿主の役割を果たしたと悪口を言われ、医療人はウイルスの巣窟扱いされている。「お前は学校に来るな」と、医療人の子供を差別する空気が、最も教育的であるはずの学校で起こるなど、驚くばかりだ。「排除のメカニズム」が働く社会で、人たちは周りの視線を恐れて、さらに症状を隠すことになる。そうなれば、隠れたMERS患者がウイルスを伝播させる可能性が高まり、社会全体はさらに危険になる。MERS事態がピーク向かって突っ走っている今、ウイルスと闘っている医療人やその家族に温かいねぎらいや励ましの言葉を送るべき時期だ。






