「まるで魔法使いじゃないか」
ブラジルのジャーナリストが参ったと言わんばかりに首を横に振った。8日、ブラジル・ベロオリゾンテのミネイラン競技場で会ったブラジル報道陣は、一人を注目していた。準決勝の対戦相手ドイツのキープレーヤー、トーマス・ミュラーのことではない。決勝で対戦するかもしれないリオネル・メッシ(アルゼンチン)とアリエン・ロッベン(オランダ)を分析しているわけでもない。ある記者は「オランダは皆が避けたいと思っているチームだ。オランダ代表にはルイ・ファン・ハール監督がいるからだ」と話した。
ファン・ハル監督は、今大会で最も注目を集める指揮官になった。ブラジル代表のルイス・フェリベ・スコラーリ監督をはじめ、ドイツのヨアヒム・レーブ監督、アルゼンチンのアレハンドロ・サベージャ監督も自国をベスト4に導いたが、一部の試合内容が振るわなかったため指導力に疑問符が付いた。これに対してファン・ハル監督は、全試合で「神の一手」を極めた。
ファン・ハル監督はスペインとのグループリーグ第1戦で予想を破って3−5−2フォーメーションを使用し、優勝候補だったスペインを5−1で粉砕した。グループリーグ第2戦の豪州戦でも0−0で前半を終えると、DFを外して攻撃陣を投入し、3−2で勝った。チリとのグループリーグ最終戦では、いずれも後半に途中出場した選手たちがゴールを決め、2−0で勝利した。
ファン・ハル監督の戦術は、トーナメントでさらに光を放った。メキシコとの決勝トーナメント1回戦では、後半に劇的な2−1で逆転勝ちしベスト8に進出。後半にフォーメーションを変えて戦術を修正した結果だ。コスタリカとの準々決勝は、長らく人口に膾炙される名勝負だった。ファン・ハル監督は、延長戦も0−0で終わりかけ、PK戦に突入する直前に残り1枚の交代枠を使った。GKの交代だった。今大会開幕の3週前から準備してきたカードだった。結局、交代で出場したGKがPK戦で2本をセーブし、オランダのベスト4進出を決め。
10日に行われるアルゼンチンとの準決勝に向けても、ファン・ハル監督は新たなマジックを準備しているのかもしれない。ブラジル人ジャーナリストが、アルゼンチンには不利な戦いになるとして、その理由を説明した。「アルゼンチンは、11人ではなく12人と戦うことになるからだ」。






