我々は空気の重要性について、どれほど感じながら生きているだろうか。大人は普通、1日に1.5キロの食べ物と2キロの水を飲んでいる。そして、1日に8000〜9000リットルの空気を吸っている。重さに換算すると10キロを超える。太古から吸気と呼気で、人体を出入りしていた空気の造成は、産業化によって極めて微細に変わってきている。しかし、その微細な変化が、歴史の中で、1930年代のベルギーのミューズバレーのスモッグ、英ロンドンのスモッグ、米ロサンゼルス(LA)のスモッグなどの大気汚染のエピソードを記録した。また、酸性雨や黄砂現象で、国境を行き来する被害を招いている。
最近、我々を懸念させる大気汚染の話題は、粒子状物質の静かな攻撃だ。最近、環境福祉フォーラムは、「白翎島(ペクリョンド)から吹き付ける埃の風、その実態と対策」というテーマで、環境部や気象庁、各界の専門家と円卓会議を行った。粒子状物質をはじめ、大気汚染の原因やその解決策を模索することは、決して簡単なことではない。汚染の排出源の正確な把握もさることながら、大気中の2000あまりの化学物質のうち、どれがどのような影響を及ぼすか、知っていることより知らないことのほうが、一際多いからだ。
ソウルの大気環境は10年前(粒子状物質76マイクログラム/立方メートル)より、一段と好転している(2012年は41マイクログラム/立方メートル)。天然ガスの普及や首都圏大気質を巡る環境対策などが功を奏したためだ。しかしまだ、先進国の大都市よりは高いほうであり、高濃度の粒子状物質の発生日数も、今年は19回と、昨年の3回を大幅に上回っている。
最近の頻繁なスモッグは、中国発粒子状物質の汚染と無縁ではない。中国で、粒子状物質の濃度がピークに達したあと、一定の時間が経ち、白翎島(汚染源のない)やソウルで、濃度が高まったという分析結果が出ているからだ。米ガン学会は、微小粒子状物質(PM2.5以下)が増えれば(10マイクログラム/立方メートル)、死亡率が7%増加し、特に、呼吸器関連の死亡率は、12%増加するという結果をまとめている。
韓国政府は最近、スモッグの頻繁な発生に備え、微小粒子状物質の予報制度を導入した。しかし、国内外の観測資料の共有やモデリング、インベントリーの構築が足りず、補完し・改善する余地が多い。たとえ、粒子状物質に関する予報が出されても、それを避ける根本的な手立てがあまりない。マスクだけで解決できるものではないからだ。
粒子状物質の吸着された汚染物質は、1次汚染源から出る物質が、太陽光によって2次反応を起こして生成されるものが多い。したがって、汚染物質の排出を減らす管理行政が適正に機能しなければならない。粒子状物質のために、新たな基準や制度を導入することより、まず、従来の規制やインセンティブ提供などの関連措置を点検・補完し、粒子状物質の汚染が、健康や環境に及ぼす影響について、正確に認識することが先行されなければならないだろう。
中国発粒子状物質については、強制的な制御手段がない。突き詰めてみれば、粒子状物質の攻撃は、中国にはさらに深刻な問題だ。そのためか中国政府は、経済開発5ヵ年計画の6大政策に、エコ政策を盛り込んだ。大気汚染防止を巡る行動計画を樹立し、17年まで北京の微小粒子状物質を25%削減するという目標も打ち出している。国家間の外交は、環境部門でも例外なく、相互ウィンウィンに進まなければならない。粒子状物質関連の韓中協力も、相互の立場を尊重し、共有できる共同のビジョンを確立し、協力するのが重要だ。まず科学者や専門家集団が、相互の研究や解決意志を共有する会話を続け、政府はこのような交流を積極的に支援することこそ、結局の解決策になるだろう。






