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現代車の新労組委員長にハト派が選ばれた理由

現代車の新労組委員長にハト派が選ばれた理由

Posted November. 11, 2013 03:32,   

「貴族労働者という悪口を多く言われ、あっけにとられるばかりです。実利なく中身のない闘争に、組合員だけが傷つきました」。一昨日、現代(ヒョンデ)自動車の新労組委員長に選ばれたイ・ギョンフン候補の観想の一言だ。イ委員長は、選挙で、中途や実利を打ち出した。イ候補は、09年も労組委員長を務め、3年間スト無しの労使共栄を成し遂げた経験がある。

今回の選挙では、5人候補のうち、タカ派候補3人が1回目の投票で軒並み落ちた。特に、無理な要求を打ち出してストを頻繁に繰り返してきた現執行部所属の候補は最下位だった。会社側の主張によると、現執行部はこの2年間、ストや特別勤務拒否で4兆4000億ウォンあまりの生産支障を招いた。それにより、協力会社各社が経営難に陥り、地域経済も困難になると、批判の声明が相次いだ。裁判所は、工場を無断で占拠し、稼動を中止させた組合員らに、1人当たり億ウォン単位の損害賠償の判決を下した。

最近、経済不況のため、就職準備生10人中3.5人だけが職を手にするほどだ。現代車は、人気職場だ。今年の新入社員競争率は83対1と、史上最高だった。平均年収9400万ウォン(12年基準)の現代車労組が、賃上げやさまざまな恩恵を求め、ストを行うことに、国民の視線が芳しくなかったのは当然のことだ。いわばハト派労組委員長が選ばれたのも、このような空気を反映したものだ。

現代車は、国会経済の柱を担当する基幹産業体だ。昨年、わが国の企業全体の当期純利益のうち、三星(サムスン)電子と現代起亜(キア)車が占める割合は28.6%だった。世界自動車業界は、エコ技術と情報技術(IT)とを融合させた次世代モデルの開発を巡り、激しい競争を繰り広げている。未来市場を先取りするためのグローバル企業各社の合従連衡が活発に行われている中、中国やインドが追い討ちをかけている。世界5位の現代起亜車も、何時追い越されるか分からない。現代車労組が、目の前の利益から脱し、会社を一ランク跳躍させるパートナーの役割を果たすべき理由でもある。

現代車労組は、組合員が4万7000人あまりと、全国最大だ。現代車の役員や従業員のほか、下請、孫受け、ひ孫受け会社5000社あまりに40万人の職員が、現代車のために働いている。現代車労組は、国内労使関係に膨大な影響を及ぼしているが、これまでよいお手本にはなれなかった。新委員長は、「26年間の古い悪習を破棄し、グローバル企業に見合う団体交渉の原則や基準を確立する」とした約束を必ず守ってほしい。