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大ヒットしたのに、大損したという韓国ドラマ

大ヒットしたのに、大損したという韓国ドラマ

Posted August. 01, 2013 06:23,   

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韓国ドラマは、世界的な文化商品だ。本番が終わると、48時間以内に英語の字幕がついた映像が、ネット上にアップロードされる。3、4日後には、20数カ国の言語の字幕がついて流通される。韓国ドラマ・ストリーミング・サービスを行う米サイト「ドラマフィーバー」をクリックすれば、「I hear your voice」(君の声が聞こえる)や「Gu family book」(ク家の書)などの人気ドラマが、韓国での放送時間と殆どタイムラグもなくアップロードされている。韓国コンテンツ振興院によると、11年の全体コンテンツの輸出額の82%(1億6700万ドル)が、ドラマの輸出で得た金額だ。

グローバル市場で、韓国ドラマの存在感はB級商品だ。ソウル大学の姜明求(カン・ミョング)アジア研究所長が、中国市場について研究した結果、学歴や所得の高い人は米国と日本ドラマを、中間層の視聴者は、中国と香港ドラマを、低層の視聴者は韓国と台湾ドラマが好きだ。中国人らも、「最低だよ」と悪態をつきながら、韓国ドラマを見るという。

欧州市場について研究したソウル大学言論情報学科のホン・ソクギョン教授は、「あまりにも完璧な米ドラマとは違って、韓国ドラマは、感情移入が容易にできるよう空けているコンテンツであるため人気だ」と分析した。欧州のファンらは、韓国ドラマの常套的設定を見つけ出し、「韓国ドラマの十戒」をまとめている。男性主人公はご他聞に漏れず、金持ちであり、性格が悪い。主人公が死ぬときは、必ず癌で死ぬ。いくら複雑な問題でも、一度激しく戦った後は、解決する…。

最近は、B級ドラマの市場でも生き残るのは容易ではない。韓国ドラマは、グローバル商品だが、制作過程は、街中商店街のレベルだ。その後進的制作慣行は、新聞の社会面にたびたび登場する。二桁の視聴率のドラマの主人公は、出演料を手にするため、訴訟を起こす。「ぶっつけ本番の台本」で撮影していた「赤道の男」は、最後は放送時間を満たせない出来事まで起きた。「スパイ・ミョンウォル」の主人公であるハン・イエスルは、放送を途中でほったらかしたのに、被害補償もせずに終わった。金鍾學(キム・ジョンハク)監督が「神医」を残し自殺すると、皆「神医は、大損したドラマでもないのに…」と首をかしげながらも、どこで問題が起きたのか誰もわからないという。資本金1億ウォン足らずの多くの新生制作会社が基本的な契約書すらなく、50億ウォンを超える金で、「自分勝手に」制作しながら、「ドラマは成功、経営は失敗」という前例をそのまま繰り返している。

市場失敗の兆候は04年、「冬のソナタ」が日本で成功した後から感知されたのに、韓国政府はドラマの巨匠が死亡してから、ようやく対策をまとめた。標準契約書をまとめ、出演料未払い問題や、ぶっつけ本番台本による制作慣行、収益配分をめぐる制作会社と放送局との対立とを解決するという内容だ。しかし、核心が外れている。

制作費高騰の直接的原因である俳優と作家の人件費への言及がない。10年前、女優・李英愛(イ・ヨンエ)が「宮中女官チャングム」で受け取った1話あたりの出演料は600万ウォンだったが、今はその10倍を払わなければならない。全体制作費にスターの出演料が占める割合は、米国や日本の5倍もある。特A級作家の1話あたりの原稿料も、00年の1000万ウォンから5000万ウォンへと高騰した。韓国政府は、俳優や作家協会とこの問題を解決しなければならない。経済民主化も実施するのに、出演料の合理化はなせ、できないのか。

政府の発表には、ドラマ制作の効率性や透明性を担保するための対策も漏れている。米ドラマの制作会社各社は、日程表や予算書作成のソフトウェアで、制作全般について管理している。俳優ごとにいつ出演し、どの装備がどれほど使われたのか、当日の撮影分量や演技の分量はどれぐらいかが統計として出てくる。情報技術(IT)大国の韓国で、日程や予算管理を依然手作業で行っているのは、信じがたい話しだ。30日に発表した標準契約書の制定にとどまるなら、「ドラマは大儲け、製作者は大損する」という内容が、海外のファンらによる「韓国ドラマの十戒」に追加されるかも知れない。