朴槿恵(パク・クンヘ)政府の「雇用率70%ロードマップ」を見ると、仕事と家庭の両立によって女性の雇用率を高めようとした努力がうかがえる。「自動育児休業」のおかげで働く女性たちは会社に気がねせず15ヵ月間育児に専念できる。育児休業対象の子どもの年齢制限も従来の6才から9才に引き上げ、幼稚園の時期よりも手がかかる小学校低学年の子を持つ働く母親のことが考えられている。そのほかに、代替人材に対する支援や国公立「子どもの家(託児所)」の拡大といった対策も含まれている。
今回のロードマップは、「女性よ、気楽に子どもを産んでいつでも再び職場に戻ってこい」という求愛のように聞こえる。出産・育児で仕事を辞めざるを得なかった30代女性の経済活動への参加率を高めるうえで顕著な効果を出すだろう。しかし、ここに見逃した点がある。雇用率を上げることが必ずしも雇用の質を保障するわけではないということだ。
2012年のマッキンゼー・アンド・カンパニーの報告書「女性問題アジア太平洋展望」によると、韓国はほかのアジアの国々に比べて働く女性の割合が低くはないが、企業の理事会と最高経営陣に行くほど女性が急減することが分かった。満15〜64才の労働人口のうち女性労働者の割合は、中国74%、オーストラリア70%、日本62%、シンガポール60%に続き韓国は55%で、アジア10ヵ国のうち5位だった。しかし、理事会の女性役員の割合は1%と最下位だった。そのほかの調査結果を見ても、13の主な公企業の女性役員の割合は0%、上場企業1787社の女性最高経営者(CEO)の割合は0.73%、10大グループの女性役員の割合は1.5%で、最近発表された朴槿恵政府17省庁高級公務員(室・局長級)の女性の割合は5.1%にとどまった。
女性の高級職進出を阻む要因は何か。先月、世界最大級のエグゼクティブ・サーチ会社、ハイドリック・アンド・ストラグルズが、韓国の女性役員と中間管理者93人を対象にアンケート調査とインタビューを行ない、興味深い結果を発表した。回答者の50%以上が、女性も男性同様、社会的な成功を望むが、83%が「見えない壁」があると答えた。「見えない壁」には、「女性が成功するには会社と結婚しなければならない」と言われているように、家庭と仕事を両立することが難しい韓国の組織文化と「母親が育児をしなければならない」という社会的圧力も含まれる。
2人の子どもを持つ女性が自動育児休業制度をすべて活用した場合、計30ヵ月、2年半の業務中断が生じる。これは業種によっては個人のキャリアに致命的な空白となる。同じ職位の同様の能力を持つ男性との昇進競争で押し出されるのは火を見るよりも明らかだ。そのうえ、いつでも時間制雇用に切り替えることができるということ自体、冷静に考えれば「あなたじゃなくても仕事ができる人は多い」という意味だ。
三星(サムソン)電子初の女性役員だったイ・ヒョンジョン常務は、働く女性について、「厄介者と宝物」と言った。辞めさせることもできず、いても頭が痛いのが「厄介者」だが、まさに韓国の大企業の女性社員がそのような存在だということだ。イ氏の持論を要約すればこうだ。各企業が採用の門戸を広げたが、いざどうやって女性の人材を管理すれば企業の競争力と生産性を高めることができるかについての考えがない。せいぜい女性職員が多くなり、セクハラ、性差別のような頭の痛い問題も共に増えるので男性たちは気をつけなければならないと予防教育をする程度だ。しかし、企業文化が進化するには新しいDNAが必要だ。その新しいDNAを女性から見つけなければならない。女性人材の競争力は「男性よりも2倍働き」、「男性と同じように酒を飲む」ところにあるのではなく、「女性だから違うと考え、違った発想で仕事をする戦略」にある。政府が女性にやさしい政策を発表しても、結局は使う人、使う方法によって厄介者が宝物に、宝物が厄介者にもなる。






