世紀的スキャンダルの主人公であるモニカー・ルインスキーや放送人のオプラ・ウィンフリー、ビートルズのリンゴ・スター、「湾岸戦争の英雄」である故ノーマン・シュワルツコフ陸軍大将、英外俳優のパトリック・スウェイジ。彼らの共通点は何だろうか。30代以上の韓国人なら、どこかで耳にしたはずの名士らだ。「インタビューの女王」とされるバーバラ・ウォルターズがインタビューした人物らだといわれれば、「なるほど」というかもしれない。ところが、より正確に言うなら、ウォルターズとインタビューしながら泣いた人たちだ。
◆ウォルターズは、インタビューする人の心を武装解除させ、本音を明らかにさせるインタビュアーとして定評がある。1970年代に彼女とインタビューした考古学者は、「ウォルターズは、庭にできている道に導くように、安心させておいては、いきなり草むらの中に隠れている蛇のように質問を浴びせかけてくる」と評した。彼女の親友でありCBS放送の花形ニュースアンカーだったダン・ラザーも、「その容姿は、社交界にデビューしたばかりの上流層女性らしいが、その胸の中には暗殺者が潜んでいる」と語った。
◆53年間、彼女を堂々と現役としてマイクを握らせたのは、このような執拗さや膨大な競争意識だ。01年の同時多発テロ直後、彼女が所属していたABC放送の特集報道は、後輩の女性アンカー・ダイアン・ソイヤーを中心に行われた。腹の立った彼女が、テレビ局の職員らが見守る中、社長に大声を上げた出来事は、有名エピソードだ。どうすれば、「生きた伝説」の怒気を沈めることができるだろうか。苦心していた社長は当時、ニューヨーク市長だったルドルフ・ジュリアーニへのインタビューを氏に任せた。
◆KBSが春の番組改編と共に、健康情報番組「ビタミン」の司会者・鄭恩娥(チョン・ウンア)氏を降ろすと明らかにした。鄭氏は、この番組のスタートからこれまで9年9ヵ月間手がけてきた、放送界の数少ないベテラン女性放送人だ。問題は、その後釜の司会者の一人として、朴槿恵(バク・グンへ)大統領の甥のウン・ジウォン氏を抜擢したことだ。保守であれ進歩であれ、新政府の発足のたびに、放送局が政権の機嫌を伺うクセがぶり返したというと言われざるを得ない。これでは、能力や資質、意志や能力を全て備えていても、バーバラ・ウォルターズなどの人物が、果たしてわが国の放送界で出ることができるだろうか気になる。
ミン・ドンヨン政治部記者 mindy@donga.com






