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[オピニオン]トルーマン・ショーの北朝鮮

[オピニオン]トルーマン・ショーの北朝鮮

Posted January. 23, 2013 07:20,   

ごく平凡な生活を送っていると信じる30才の保険会社のサラリーマンがいる。幼い頃、父親の溺死を目撃したため水を極度に恐れることを除けば、平穏な生活を送っている。結婚生活も充実している。しかし、突然、上から落ちてきた放送撮影用のライトが、彼の「順調な人生」に大きな波紋を投げかける。死んだと思っていた父親はホームレスになって現れ、何かを言おうとしたが連れて行かれ、突然現れた初恋の女性の口から衝撃的な真実を聞く。「あなたは巨大な人工都市に取り付けられた5000個のカメラを通じて全世界17億の視聴者に30年間中継された『トルーマン・ショー』の主人公だ」。

◆1998年に上映された映画「トルーマン・ショー」は、誰でも真実だと信じている現実の世界が、実はすべて作られたものかも知れないというメッセージを投げかけた。生まれてから徹底的に作られた生活を送ってきた主人公の名前を「トルーマン(true man)」としたのは絶妙の反語法だ。「江南(カンナム)スタイル」で世界的なスターになったPSYは、あるインタビューで、「簡単に言うと映画『トルーマン・ショー』のようです。これは今『隠しカメラ』ではないかと思ったりします」と言った。世界の人々が自分の馬乗りダンスをする非現実的な状況から永遠に目覚めたくないという率直な心情を吐露したのだ。

◆米政府の反対にもかかわらず北朝鮮を訪問(7〜10日)し、手ぶらで戻って「役立たず(useful idiot)」と言われたグーグルのエリック・シュミット会長親子の訪朝記が話題になっている。娘のソフィー・シュミット氏は自分のブログに、「北朝鮮は国全体が巨大な『トルーマン・ショー』のようだった」と書いた。19才の少女が北朝鮮の現実を正確に描写している。ソフィー氏は、「平壌(ピョンヤン)での滞在期間、北朝鮮当局が許可しなかった人とは話しができなかった。私が見聞きしたことを考えれば考えるほど、それが本当に何を意味するのか確信が持てなくなった」と綴った。北朝鮮を初めて訪れたソフィー氏にも、目の前で繰り広げられる全てが作られた現実という事実だけははっきりと見えたようだ。

◆北朝鮮が自負する金日成(キム・イルソン)大学の電子図書館もソフィー氏の目には「ポチョムキン村」に映った。新しく併合したクリミア半島を視察したロシアの皇帝エカチェリーナ2世の歓心を買うために、グレゴリー・ポチョムキン州知事が皇帝の船が通る川の堤防に紙で美しい風景を描いて目隠しをしたことから生まれた言葉だ。ソフィー氏は、「すべてのコンピュータに人が座っているが、モニターを見ているだけで、放送カメラに映されても、大声を上げても、微動だにしない」と書いた。「もしかしてこの人たちもマネキンだったのか・・」というソフィー氏の冗談は的を射ている。北朝鮮体制を非難したソフィー氏は、平壌を再び訪問する考えはないようだ。

ハ・テウォン論説委員 triplets@donga.com