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[社説]ポピュリズムの終末、燃えるギリシャ

[社説]ポピュリズムの終末、燃えるギリシャ

Posted October. 21, 2011 03:07,   

ギリシャ最大の公共労組と民間労組が48時間のストに入った19日(以下現地時間)、首都アテネで約10万人が激しい反政府デモを行った。デモ隊が投げた火炎瓶で、警察の警戒所が燃え、国会議事堂の周辺は市街戦のようだった。政府庁舎、学校、病院、銀行がすべて閉ざされ、アテネ国際空港では多くの航空便が運航休止となった。外国人観光客は観光地に入ることもできず、ゴミ収集者がボイコットをし、各都市では20日間もの間、ゴミが散乱している。

ギリシャ労組とデモ隊は、政府の追加緊縮策に反対し、「金融支援、必要なし」というスローガンを叫んだ。政府の緊縮策は、公務員を削減し、増税し、年金を削減するという内容だ。国際通貨基金(IMF)と欧州連合から約束された金融支援を受けるための苦肉の策だ。ギリシャ政府は負債を返済できない危機に陥った昨年5月、金融支援を要請したが、4年間で計1100億ユーロ(約173兆ウォン)を受けることが決まり、これまで650億ユーロの支援を受けた。この金には、欧州連合各国の国民の税金が含まれている。欧州連合は、緊縮の約束を守らないギリシャに支援を続ける名分がない。万一、欧州連合の6次分の金融支援80億ユーロが今月中に国庫に入らなければ、ギリシャはデフォルト(債務不履行)となる。にもかかわらず、国民が政府の緊縮策を受け入れないと大騒ぎだ。

ギリシャの緊縮策は19日、議会の1次採決で辛うじて通過し、20日の2次採決も通過できれば確定する。ギリシャの緊縮の意志が確認されれば、欧州連合の首脳らは23日に会議を開き、ギリシャの負債を削減する包括的対策を協議する予定だ。しかし、専門家らは、ギリシャがデフォルトの危機から脱する可能性を高いとは見ていない。政界の無分別な福祉競争で「借金の上の福祉」を享受したギリシャ国民がモラルハザードから抜け出さなくては、金融支援や債務再調整だけで財政危機を克服することはできない。ストとデモで財政破綻を防ぐことはできず、状況が悪化するだけだ。

8月に訪韓したギリシャ・アテネ大学のアリステス・ハチズ教授は、「ギリシャは福祉ポピュリズムと過度な規制で経済が悪化の一途を辿った」と分析した。ギリシャ危機は欧州に伝染し、今は世界経済の脅威の要素になった。韓国は、ギリシャに比べれば国家債務の水準は良好だが、増加のスピードが速く、安心できない状況だ。高齢化や南北統一など、財政需要が予想されるにもかかわらず、政界は福祉拡充競争をしている。財政能力以上の過度な福祉に対する国民の期待感が高まり、今後、国家債務の管理が正しく行われるか不安だ。燃えるギリシャは、「腰のベルトを一度ゆるめれば、再び締めることが難しい」という教訓を与えている。