釜山市沙下区(プサンシ・サハグ)の賃貸マンションで一人暮らしの40歳の男性A氏は、病院へ行くことから1日が始まる。糖尿や高血圧、脊椎狭窄、筋肉痛、喘息、うつ病などを患っている氏が、09年の1年間に病院や医院での診療を受けたり薬を受け取った日数は計1万6066日、国庫から薬代や診療費として支払われた金額は計6976万ウォンに上る。一度病院を行くたびに、平均44日分の薬を受け取ったことになる。これほど多くの薬を果たして、本当に飲んだのかどうか知りたいくらいだ。A氏は、国が医療費を支援する医療給付の受給者だ。
◆昨年、医療給付の名目で、病院や医院、薬局に対して支払われた国庫は、計4兆7548億ウォンと、08年(4兆4735億ウォン)より6.3%増加した。よく貧困は病気を伴うことになり、低所得層の健康がその分悪化したと見ることもできるが、無料医療による医療ショッピングも、想像できない水準だ。昨年、基準給付(処方診療)日数が、2000日を越えた受給権者は計379人に上る。このうち、病院を適切に利用したケースは81人(21.4%)に過ぎず、残りは薬物の誤用乱用(23.5%)、習慣的利用(19.8%)、医療ショッピング(14.5%)であることが分かった。ダイエット目的で薬を受け取るケースまであった。
◆ソウル市が、基礎生活受給者や低所得層に対し、支給する医療支援金が、11月に底をつき、現在6500件、107億ウォンを支給できずにいる。低所得層への医療支援金は、国庫78%と自治体予算22%の割合で組まれる。ソウルだけでなく、釜山や大邱(テグ)、仁川(インチョン)、光州(クァンジュ)、大田(テジョン)、全羅北道(チョルラブクド)、慶尚南道(キョンサンナムド)などの医療支援金も底をついている。各自治体が、医療支援金を支払うことができず、国民健康保険公団も病院や医院、薬局に対し、医療給付を支給できずにいる。病院を回りながら、無料で医療ショッピングを楽しむ人々が増え、結局、貧しくて本当に病気を患っている人々に被害を与えることになるだろう。
◆生活の貧しい低所得層に提供されるべき医療給付を一部の人が悪用するようなことはなくなるべきだ。政府は、偽物患者に対し、国民の税金を無駄遣いすることがないよう、徹底監視する必要がある。しかし、彼らの行動を批判する前に、制度がモラルハザードを誘発してはいないか、反省しなければならない。無料医療への制限がなく、医療ショッピングが蔓延している。全面的な無償給食を推進する側も、底をついている無償医療の予算を目にして気付くところがあってしかるべきだ。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com






