検察が、林炳石(イム・ビョンソク)C&グループ会長に対し、約1000億ウォンの不正融資などの容疑で拘束し、本格的な捜査に乗り出したことを機に、政界・官界や金融圏と関わった不正疑惑が浮き彫りになっている。捜査の焦点は、C&グループが数百億ウォンの秘密資金を造成し、社勢の拡張や企業救命ロビーに使ったかどうかを突き止めることだ。旧与党関係者の疑惑も取り上げられているだけに、捜査の波紋がどこまで広がるか注目される。
1990年、林会長が、資本金5000万ウォンで、設立した海運仲介業者が、母体のC&グループは、00年代の初めから、主に法定管理企業を買収合併し、一時系列会社が41社もあるまでに急成長した。検察はC&グループが金融圏をはじめ、政界・官界から迎え入れた役員の役割と過去の政府与党、および権力周辺の人物の関わりについて捜査している。
この捜査に対し、民主党の孫鶴圭(ソン・ハクギュ)代表は昨日、「企業査正が、前の政権に対する政治報復や野党への弾圧に利用されると、国民が許さないだろう」と警告した。朴智元(パク・ジウォン)院内代表も、「結局、野党弾圧のためのもう一つの査正」と話した。民主党が検察の捜査に敏感に反応を示すのは、C&グループが金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時に急成長し、民主党の関係者が関わっている可能性があるからだろう。政経癒着の不正が露になると、与党であれ野党であれ、捜査するのが検察の責務だ。
C&グループのように短期間で成長した企業周辺には、政治家や公職者が関わった腐敗の臭いがするものだ。検察は、現存する権力が関わった不正に、きちんとメスを入れられず、政権交代後、捜査する場合が多かった。このため、政治検察という批判が付きまとう。
検察は、首相室倫理支援管室の民間人不法視察事件をきちんと捜査したか振り返るべきだ。検察はこの事件で、「BH(大統領府)の下命」と書かれた文書が出たにも関わらず、大統領府が関わった事実を突き止めることができなかった。千信一(チョン・シンイル)世中(セジョン)ナモ会長が、検察の本格捜査の着手時に、海外へ出たことも釈然としない。検察は、現政権初期に行われたテグァングループの系列会社、ティブロードのキュリクス買収関連不正も、徹底的に捜査しなければならない。泰山鳴動(たいざんめいどう)して鼠一匹するような捜査になってはならない。
検察が、現存する権力が関わっている可能性のある事件をきちんと捜査しないまま、過去の与党であり、現在の野党所属の政治家の不正だけを集中的に捜査した場合、野党弾圧という批判を免れない。検察は、政経癒着の不正捜査に聖域がないことをきちんと示すべきだ。