Go to contents

蜃気楼になった「砂漠のハブ」、出口見えず…ドバイは今

蜃気楼になった「砂漠のハブ」、出口見えず…ドバイは今

Posted October. 20, 2010 08:47,   

한국어

黄色い埃をかぶった見取り図から、椰子の木の形をした人工島を目にできなかったら、ここがわずか1年前まで、世界から「想像力の極み」と賞賛された「パームデイラ」の建設現場であることに気付かなかっただろう。

11日(現地時間)、アラブ首長国連邦・ドバイの「パームデイラ」。4635万平方メートルもある海を埋め立て、世界最高級の観光レジャー施設や高級居住地を建設しようとしたここには、開発のごう音の代わりに、物静けさだけが漂っていた。海風と砂漠からの砂風が入り混じった音だけがけたたましかった。

いくつかの敷地造成や埋め立て工事が行われるだけで、様々な建設機器には埃が溜まっていて、工事資材もあちこちに無作法に散らばっていた。作業員たちや海の埋め立てに必要な砂を運ぶトラックでこった返すはずの工事現場の入り口には、錆びた鉄製の警備室だけが残されていた。

パームデイラから車で約40分を走って到着した「ドバイランド」の建設現場。砂漠の真ん中に、ディズニーランドの約8倍大きさの世界最大のテーマパークの建設現場には、アトラクションや動物園、ショッピングセンター、公園、ホテルなどテーマパーク向け施設は見当たらなかった。ドバイランドと書かれた看板がある大きな入り口が、ここがただ捨てられた砂漠でなく、世界的な開発プロジェクトの現場であることを物語っていた。

先月26日、ドバイの最高権力者、ムハンマド・ビン=ラシード・アール=マクトーム首長は、米ケンタッキー州で行われた乗馬大会に参加し、「我々(ドバイ)が戻ってきた」と語った。昨年11月25日、無謀な開発戦略で資金難に苦しんだドバイ財務省が、最大手国営会社「ドバイワールド」やその子会社「ナキール」の債務返済を6ヵ月猶予するよう要請したことに触発された、いわゆる「ドバイショック」からついに脱したことを宣言したものだ。

しかし、記者が1年ぶりに見て回ったドバイの「世界初」「世界最高」の開発プロジェクト現場は、依然、そのショックの後遺症のなかで呻吟していた。

●蜃気楼のように消えたバラ色の青写真

「ドバイは、『需要のあるところに供給はある』という経済学の基本原則に従わなかった。物流のハブを越えて、観光や金融のハブへと躍進するという革新的な開発戦略とビジョンを示した後、外部から投資を誘致し、インフラを整備すれば、需要はおのずとついてくるものだと、バラ色の未来だけを描いていた」

中東の代表的なシンクタンクの一つであるガルフ・リサーチセンター(GRC)のサミール・プラダン首席研究委員は、「これまでドバイが成し遂げた成果は、決して『砂の城』ではないが、まだ危機は終わっておらず、ドバイは過度に型破りな開発戦略を見直さなければならない」と強調した。ドバイ市内の高層ビル11階にある氏の研究室の窓越しに、工事が止まった多くの大型工事現場が目に入った。

ドバイの代表的な超高層ビル密集地域であるビジネスベイは、「先に供給、需要は後から」の戦略が失敗に終わった事例だ。砂漠のど真ん中に大型のオフィスビルを開発し、多様なグローバル企業や金融会社を大量に誘致しようとしたここは、ドバイが「売れていた」時代には夜にも灯りをともして工事を行う建物が多く、工事中でも華やかな夜景を自慢していた。

しかし記者が1年ぶりに訪ねたビジネスベイの夜景は大きく様変わりしていた。止まったクレーン、灯りのないビル、作業員と工事装備がない工事現場を容易に至る所で目にすることができる。「ショック」を前後して、投資家たちが投資を諦めたか見合わせているからだ。国内のある建設会社が、最近調査した結果によると、ビジネスベイで現在、工事が始まっている建物は計115件で、そのうち57件(49.6%)は工事中止となっている。また、工事計画はあるが、まだ着工すらしていない建物も、100件ぐらいだ。

ドバイの経済、社会的な水準と法治主義の確立が、他の中東国家に比べてグローバルスタンダードに大きく及ばないのも、ドバイ開発戦略を困難にさせている理由に挙げられている。

多国籍不動産コンサルティング会社であるCBREのマシュー・グリーン・リサーチチーム長は、「海外の投資を積極的に誘致すると言いながらも、政府が経済成長率や不動産価格の推移、空室率といった基本的な経済統計資料すら定期的に発表していなく、正確な市場状況を把握するのが困難であるのがドバイの現状だ」と話した。

同氏は、「景気が良いときは、このような面が大きく目立たないが、ショックが起きてからは、ドバイが再び投資を呼び込むのを妨げる要因となっている。法治と透明性の確立なくして、金融ハブへの躍進は不可能だ」と指摘した。

●リーダー一人が頑張っても…「国民の意識向上」痛感

「ドバイショックから得た大きな教訓は、ドバイ現地の人々がドバイの開発と成長にもっと関心を持ってこそ、成功につなげることができるということだ」

ドバイ最大手紙「ガルフニュース」の経済担当エディターであるサイプル・ラーマン氏は、「指導者一人が全ての発展を成し遂げることはできないということが、危機から確認できた」と言い、「政府、公共機関、マスコミなど社会の主要分野により多くの人材が進出し、長期的なビジョンと責任をもって政策を執行しなければならない」と強調した。最高権力者のムハマド首長が、全世界を回りながらドバイの新しいビジョンを提示し、投資を呼び込むために、それなりにベストを尽くしたことは評価できるが、いざドバイ国民はそれを後押しするような意識が欠けていたという意味だ。

約150万のドバイ人口のうち、純粋なドバイ人は20%に過ぎない。問題は、彼らの相当数が、とくに働かなくても政府から豊かな支援金を受け取って楽な生活をしていることだ。

実際、政府もマスコミも、最上位層だけが純粋なドバイ人で、その下部層の人材は気が変わればいつでもドバイを離れかねない外国人の場合が多い。このため、ドバイの未来に愛情と責任意識をもって最後まで自身を犠牲にしようとする意識がない。ガルフニュースも200人を超える記者のうちドバイ人は5人もない。

投資コンサルティング会社を運営している地元人のアル・パラヒ氏は、「これまで人材投資への意識が薄すぎたのが事実だ。お金と人力をドバイの外から集めるような形での経済開発は、持続性もなければ危機的状況ではあまりにももろ過ぎることを、骨髄にしみるくらい反省している」と語った。



turtle@donga.com