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[オピニオン]銃殺政治と世襲

Posted July. 17, 2010 08:05,   

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脱北者A氏は今でも、97年に故郷の清津(チョンジン)で見た公開銃殺のシーンを思い出して震え上がる。30代の労働者が、住民が見守る中、市場で処刑された。男は、取り調べで拷問を受けて足が折れたのか、引きずられて出てきた。隣の家の犬を盗んだ彼の決定的な過ちは、犯行を隠すために服を燃やし、服についていた金日成(キム・イルソン)のバッジを毀損したということだった。処刑は脚本どおり行われた。保安員が、男の罪状を読み上げた後、住民に、「この罪を許せますか」と尋ねた。数人が「許すことはできない」と言い返し、待っていたかのように銃殺が執行された。男の家族は処刑場に連れられ、一番前の席で見なければならなかった。

◆地獄でならありそうなこのような反倫理残酷行為が、北朝鮮では今でも続いている。3日前にも、会寧(フェリョン)で20代の兄弟が銃殺された。北朝鮮当局は、「下手なことはするな」と住民に恐怖の刻印を押すために公開処刑をする。最近では、金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者に内定した三男の金・ジョンウン氏に対する忠誠心を示すために、人民保安部と国家安全保衛部が血眼になって不純分子を探し出している。脱北者や脱北幇助者だけでなく、中国の携帯電話所持者まで捕まえ、監房が溢れている状況だという。3代世襲のムードを煽るための反倫理恐怖政治は見るに堪えない。

◆北朝鮮の公開銃殺は一般住民にとどまらない。昨年3月には金龍三(キム・ヨンサム)元鉄道相が、今年3月には朴南基(パク・ナムギ)元労働党計画財政部長が処刑されたという。金龍三元鉄道相は、飢えた労働者が機関車の部品を取ってくず鉄として売ったために、100台余りが廃車になった事件で、朴南基部長は、デノミネーション(通貨の呼称の変更)の失敗の責任を負って、死にいたった。北朝鮮では地位に関係なく、恐怖政治で生き残るには何でもしなければならない。軍部も昨年、大青(デチョン)海戦の失敗に対する責任を免れて生き残るために、天安(チョンアン)艦を攻撃した可能性が高い。

◆北朝鮮の反倫理実態は2万人にのぼる脱北者の証言からも確認することができる。インターネットには、北朝鮮の公開処刑のシーンを撮った映像も掲載されている。外交的な言葉で人権改善を促すことはあまりにものんびりした対応だ。しかも、大韓民国内の人権と国政に対してはことごとくけちをつけながら、金正日集団の反倫理行為に目と耳を塞ぐことは倫理に反する。

方炯南(バン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com