朝鮮労働党機関紙・労働新聞が12日、「朝鮮の科学者らが、核融合反応を成功させ、成果を上げた」と報じたことに対し、韓国政府の反応は概ね無関心だ。北朝鮮の科学レベルでは、意味ある核融合反応を成功させることはできないという専門家の分析が続いている。労働新聞は、同研究を「新しいエネルギー開発に向けた突破口」と定義した。核融合発電をするという意図のようだ。
原子爆弾の製造より難しいのが原子力発電だ。同じ論理で、核融合発電は水素爆弾の製造よりもさらに困難だ。52年に水素爆弾実験を行った米国も、まだ融合炉を造ることができない。別の先進諸国と共同で、核融合実験炉(ITER)を造っている段階だ。原子力発電所を建設した経験もない北朝鮮が核融合発電に挑戦するというから、専門家らは鼻で笑う。しかし、北朝鮮の宣言は、度々現実化したという点を忘れてはならない。
90年代初め、東欧共産国家の崩壊で、体制と経済危機に直面した北朝鮮は、体制防御とエネルギー源の確保を同時に図る手段として核開発を試みた。これを防ごうとする米国との交渉には、原子力発電を名分に掲げ、原爆の製造に突き進み、06年と09年に核実験を行った。98年と09年には「テポドン」を実験発射した。その度に、北朝鮮は事前に威嚇する発言をしたが、韓国政府はその意図を見抜くことも、緻密な対応策を講じることもできず、お決まりのコメントだけをした。
北朝鮮が昨年11月10日、大青(デチョン)海戦で敗れた3日後に、朝鮮中央テレビは、「今この時から、無慈悲な軍事的措置を取る」と脅迫した。金正日(キム・ジョンイル)総書記が、西海(ソヘ・黄海)艦隊司令部を電撃視察し、朝鮮中央テレビは「あらゆる攻撃および防御手段を総動員し、侵略の牙城を叩きつぶす」と威嚇の強度を高めた。韓米連合「キーリゾルブ」と「トクスリ」演習の開幕に合わせ、北朝鮮軍最高司令部は3月8日、全軍に戦闘動員態勢を下した。
北朝鮮がこのように報復ムードを高めている時、韓国軍は、「西海では、潜水艦作戦が不可能だ。水上艦対決には自信がある」というマンネリズムに陥っていた。その後、天安(チョンアン)艦が水中攻撃を受けた。軍だけでなく、政府の中心が対北朝鮮マンネリズムに陥っていては、今後がさらに問題だ。
北朝鮮は、恐喝と真実の言葉を巧妙に合わせ、びっくりショーで韓国を揺さぶることに長けている。朴ワンジャ氏射殺事件で、韓国が金剛山(クムガンサン)観光を中止させると、北朝鮮はソーセージを切るように圧力水位を一段ずつ高めていき、金剛山の不動産を没収した。だからといって、韓国が屈服することはできないが、北朝鮮の意図をしっかり読んで対応しなければならない。開城(ケソン)工業団地に対しても、主導的な対応を緻密に準備する必要がある。