京畿道(キョンギド)知事選への出馬を表明した進歩新党のシム・サンジョン前議員は、広域バスに乗り、ソウルへ移動する時、よくスマートフォンで業務処理を行う。しかし、相対的に速いワイファイ(Wi-Fi)が、可能な地域は一部で制限されているため、多くの場合、携帯電話網(3G)に接続する。シム前議員は3日、「単なるテキスト情報を読む時は、2つの方式に差はないが、グラフィック資料なら状況が違う」と話す。
ソウル市長選出馬を準備中のハンナラ党の元喜龍(ウォン・ヒリョン)議員は、ソウル松坡区蚕室(ソンパク・チャムシル)から選挙区(陽川区)に向かうオリンピック大路を通り移動する時、ノートブックで無線インターネット(3G)を使うと、「だいたい7回ほど接続が切れる」ことを発見した。ソウル市長選候補を選ぶ党内選挙への出馬を表明した元議員は、「通信はもはや手放せない生活の基本インフラだ。ソウル市も責任を感じなければならない領域だ」と強調した。
6・2地方選挙を控え、ツイッター(Twitter)の熱気に続き、「無料無線インターネット公約」の風が政界に吹いている。速い無線インターネットのワイファイ使用可能地域を、市・道で大幅に拡充し、無料で提供するというのが骨子だ。
●猫も杓子も公約に
シム前議員や魯會燦(ノ・フェチャン)前議員ら進歩新党の出馬予定者は、「図書館、美術館、地下鉄の駅、町役場など、人口密集地域に無線インターネットを無料で使えるようにする画期的な案を出す」と早くも宣言した。ソウル市長選への出馬意向を明らかにしたハンナラ党の金忠環(キム・チュンファン)議員も最近、「政府や地方自治体が無線インターネット使用者の不便を減らすため、積極的な政策を打ち出さなければならない」とし、選挙公約にする考えを明らかにした。
自由先進党も、「ソウルだけでなく地方の小都市も、若く活気に満ちた場所に生まれ変わらなければならない」とし、無線インターネットを中央党レベルで全国公約にする案を準備している。
民主党の民主政策研究院院長を務める金孝錫(キム・ヒョソク)議員は3日、「インターネット強国と言われた韓国が、無線インターネットでは先頭ではない。党レベルで、ソウル地域全域にワイファイを敷き、最強インターネット都市にする。今回の選挙は、ワイファイ選挙になるだろう」と公言した。
●ワイファイ公約に含まれた同床異夢
政界は、スマートフォン普及による無線インターネット拡散をめぐり、それぞれ「自党に有利」と解釈している。
ハンナラ党は党レベルで、国会議員169人、党協委員長、中央党および各市道支部事務局の職員全員に、計500個のスマートフォンを早ければ、来週にも支給する予定だ。また、10日には党業務のためのプログラムを開発し、試演会を行う予定だ。
民主党は、ワイファイ公約を李明博(イ・ミョンバク)政権の攻撃に活用している。民主党はこれまで、李政権発足後、情報通信部が統廃合されるなど、情報通信(IT)政策が後退したという点を繰り返し強調してきた。金孝錫議員は、「大統領府が、4大河川整備などの土木工事に神経を使っている間に、IT強国の地位が消えつつある」と主張した。
民主労働党と進歩新党は、スマートフォンの使用が容易になる環境づくりが、20、30代の若い有権者の政治参加の拡大につながることを期待している。民主労働党側は、「通信費用が下がれば、88万ウォン世代と呼ばれる低所得の若い有権者も利用でき、ツイッターの活用度が高まれば、進歩政党に有利になるのは自明だ」と主張した。
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