スティーブン・ボズワース北朝鮮政策特別代表の年内訪朝で、オバマ政権の初の米朝2国間対話が始まる。オバマ政権発足から約10ヵ月経ち、時間がかかったという指摘もなくはないが、20ヵ月もかかったブッシュ政権に比べ、早いという評価だ。
今回の米朝対話は、北朝鮮核問題が重要テーマという点で、ブッシュ政権と共通しているが、各論ではかなりの違いがある。
ボズワース代表の訪朝は、北朝鮮の6者協議復帰要求という制限された目的を持ち、北朝鮮の9・19共同声明の履行要求など、非核化に焦点を置いている。
ブッシュ政権の初接触は、表面的には米朝関係改善の問題などに関する協議だった。しかし、大統領特使の資格で、訪朝したジェームズ・ケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、北朝鮮が極秘に推進した高濃縮ウラニウム核開発計画を追及する重要な任務を担っていた。
米代表団の訪朝前に西海(ソヘ、黄海)で銃撃戦が発生したことも注目される。ブッシュ政権は02年6月、ケリー次官補を平壌(ピョンヤン)に送り、2国間対話を行う計画だった。しかし、米政府は「第2次西海交戦」(6月30日)が起こると、計画を撤回した。米国がボズワース代表の訪朝計画を北朝鮮に知らせたことが、銃撃戦前という共通点もあるが、今回は、南北間の衝突にもかかわらず、米国が代表団の訪朝を最終決定したという違いもある。韓国側の被害が大きくなかったということも、決定の背景とみえる。
対北朝鮮政策の発表が、整理された発表かどうかも違いの一つだ。ブッシュ政権は、約1年6ヵ月にわたり、対北朝鮮政策を検討し、対北朝鮮関係改善構想の「ボールド・アプローチ(大胆な提案)」を発表した。しかし、初期から北朝鮮の長距離ロケット発射や核実験などの挑発を受けたオバマ政権は、別途に対北朝鮮政策を発表しなかった。北朝鮮の相次ぐ挑発が、米国にとって北朝鮮との関係改善よりも、核問題の解決に重点を置いた「グランド・バーゲン」に近づいたわけだ。
韓半島の情勢にも違いがある。国連安保理決議第1874号で、対北朝鮮制裁が本格化し、北朝鮮の後援者である中国も制裁に参加する姿は、類例のない困難な気流の変化と評価される。
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