金価格が天井知らずに上がっているが、金の需要は減るどころか、かえって急速に増加している。金が最高の投資手段に浮上し、金塊を作るために、世界各国で金のリング、金の腕輪、金のネックレスが金細工業者に集まっている。新しい金鉱開発も真っ最中である。いわば「新黄金時代」到来だ。
世界の金塊の3分の1を製造しているスイスの地方都市メンドリシオは最近、前代未聞の好況を迎えている。年間400トン規模の金を細工する大手「アルゴ・ヘラウス」のエルハルト・オベリCEOは、最近、米ニューヨークタイムズとのインタビューで、「最近、金価格が暴騰してから、中東・アジア・欧州・北米などの地域の宝石店と質屋から毎日多くの量のネックレスや腕輪などが入ってくる」と話した。
世界金委員会(WGC)によると、今年の第2四半期、金投資の需要は51%も急増した反面、腕輪・ネックレス・リングなどのアクセサリーの金の消費は20%も減った。金の装身具が急速に金塊に替わっているわけだ。
英金融会社のバークレイズ・キャピタルのスーキ・クーポ金属アナリストは、マスコミとのインタビューで、「ヘッジファンドや各国の中央銀行が、主導してきた世界的な金の狂風(frenzy)に、個人投資者と一般人まで加わり、金投資市場の構造が変化している」と分析した。
英ロンドンの有名百貨店のハロッズは、スイスの金細工業者のPAMPと手を組み、先月、「金塊販売コーナー」を開設し、1グラムの金貨から12.5キロのレンガサイズの金塊まで、多様な金を揃え、販売に乗り出した。この百貨店のクリス・ホール金塊担当者は、「反応が爆発的だ。金塊が金貨よりはるかに人気が高く、特に100グラムのゴールドバーが一番人気ある」と話した。米国では最近、深夜時間帯のテレビコマーシャルに金塊や金貨販売の広告が登場した。
最近の金価格の急騰は、金鉱開発の熱気を巻き起こす引き金となった。英日刊紙ガーディアンは9日、「豪州の企業が投資した炭鉱会社『スコット・ゴールド』が、スコットランドの山間地域で数百万ポンドの金鉱を発見した」と報道した。コノニシ地域は20年前、採掘が始められたが、これといった成果がなかったものの、最近、金鉱が発見された上、金価格が急騰したことを受け、地域社会が活気に溢れている。クリス・センスター・スコットゴールドCEOは、コノニシで11年以後、毎年200キロの金を生産すると発表した。地域住民は、観光業以外にこれといった産業がなく、低迷していた地域経済が、金の採掘を機に新しい「黄金時代」が切り開かれるものと期待している。
このような金ブームが起こっている中、9日(現地時間)、ロンドン商品取引所で現物の金価格は、1オンス当り1104.80ドルを記録し、前の取引日に続き、史上最高値を更新した。12月の価格も史上最高値の1105.4ドルまで急騰した。
失業率が急増するなど、米国の経済回復が遅延し、低金利がしばらく持続するという見通しが、金価格をさらに押し上げた。インドの大規模な金の買い入れ発表に続き、スリランカの中央銀行が「外貨保有額を多角化するために、7ヵ月間、金を買い集めてきており、これからも買い続ける」と明らかにしたのも、金市場を刺激した。
しかし、金価格がいくらまで上がるかについては、意見が分かれている。商品投資専門家のジム・ロジャーズ・スロジャーズ・ホールディング会長は、金価格が1オンス当り最高2000ドルまで上がると見通しだ。反面、ヌリエル・ルビニ・ニューヨーク大学教授は、「金価格を2000ドルまで引き上げるいかなる経済的要因もない」とし、「話にならない」と一蹴した。
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