「韓国が、金融の先進化を目指しているなら、一日でも早く債券市場を育成しなければなりません。企業が債券市場で資金調達ができなくて、銀行の融資に依存する状況下では、アジアの金融センターになるのは難しいです」
世界金融の中心地である米ウォール街に進出した「韓国人第1号」のアンドレ・キムSITインベストメント・アソシエート顧問(韓国名キム・ビョンス、73、写真)は21日(現地時間)、記者に韓国の金融先進化について、アドバイスした。
キム顧問は同日、在米韓国人1.5世または2世が、中心になって設立した韓国人団体である韓米コミュニティ財団(KACF)が、ニューヨーク・マンハッタンで、開催した年次晩餐会で、「09年の誇らしい企業人賞」を受賞した。
キム顧問は、ソウル大学商学部で1年間修学してから、米国に留学。コーネル大学経営大学院を卒業後、1963年、当時メリルリンチに次ぐ米国で2番目に大きい証券会社のF.Iデュポンアンドカンパニーのアナリストとして、ウォール街に進出した。20年にわたり、ウォール街の様々な投資銀行で、アナリストや投資分野で活動し、1989年にはSITインベストメントと合弁会社を作り、「SIT/キムインベストメント」を創業した。
00年、一線から退いたキム顧問は、「私が初めてウォール街で仕事をした頃は、もっとひどかったが、今もウォール街には少数民族に対する『ガラスの天井』が存在する」とし、「韓国人がウォール街で根を下ろすためには、教会も米国人と一緒に通い、ゴルフも会社の仲間と一緒にやりながら、米国人とのネットワーク作りに努めなければならない」とアドバイスした。
金融危機については、「私がウォール街で働いていた1990年代までも、投資銀行のレバレッジ比率(投資元金対比の負債)が10対1だったが、その後、60対1まで膨れ上がった」とし、「ウォール街の過度な欲が、危機をもたらしたという指摘は当たっている」と説明した。また、「ジョージ・ブッシュ前大統領時代、米国の金融監督当局が、政府の市場介入は無条件に悪いという認識だったため、ウォール街の行き過ぎを規制できなかったのも間違いだ」と加えた。
韓国のウォール街の金融会社に対する買収動きについては、「買収しない方が賢い選択だ。ウォール街の会社の買収というのは、結局、人を買うことなのだが、韓国会社がウォール街の金融会社を買収したら、ほとんどの社員が離れ、殻だけが残るだろう」と強調した。
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