盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は29日、最後の上京の途につき、景福宮(キョンボククン)で国民と永遠の別れの後、故郷の烽火(ポンハ)村に戻り永眠する。政府は、各界関係者1383人で大規模葬儀委員会を構成し、故人の最後の道を奉送する。しかし、韓国社会の一部には、前大統領の告別式を利用し、狂風をもたらそうとする勢力がある。徳寿宮(トクスグン)前の焼香所などには、「警察兵力を無力化し、ソウル市内全域をろうそくで埋め尽くそう」、「第2のろうそくで虐殺政権を終わらせよう」といったポスターが貼り出されている。インターネットサイトには、「5月29日、500万、1000万人集まろう」と激しく煽動する書き込みもある。
政府は、故人への礼遇に疎かな点がないように盧前大統領側の要請を受け入れ、景福宮を告別式場にした。一部勢力は、この機会に乗じ、告別式や運柩行列、ソウル市庁前の路祭を利用し、社会を混乱させようという動きをみせている。今、どんな時か。対内外の悪材による国民経済の危機が解消されず、北朝鮮の核実験で安全保障まで非常事態を迎えている。このような厳しい時期に、前大統領の告別式を反政府デモおよび国民分裂拡散を煽動しようとする勢力を、ただ見ていることはできない。一部メディアも、故人を純粋に追悼する内容を越え、煽動する傾向がうかがえる。これは責任あるメディアの姿ではない。
故人が不正容疑で捜査を受け、衝撃的な方法で命を絶ったことは残念だが、一部勢力が「検察と政権、そして、一部メディアの合作殺人」云々することは、無責任な妄言である。盧前大統領が捜査を受けている間は、火の粉が飛ぶか心配し遠くを眺め、今になって表に出てくる人々に対し、多くの国民は冷徹に見ていることだろう。万事、「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」である。どの勢力も、前大統領の逝去を哀悼する国民の純粋な心を利用し、国を混乱させようとしてはならない。このよう企図を多くの国民が受け入れるだろうか。
政府は、29日の告別式が、厳かに秩序をもって執り行われるよう万全の準備をしなければならない。「殺人政権」というばかばかしい主張に引け目を感じ、一部の過激勢力に振り回される軟弱で卑怯な政府なら、公権力に責任を負う資格はない。この国を無法地帯にする権利は誰にもいない。