李舜臣(イ・スンシン)将軍生誕日(4月28日)を前後して毎年開催される数々の忠武公記念行事が、今年はさらに活発だ。忠武公が成長期を過ごした忠清南道牙山市(チュンチョンナムド・アサンシ)と、亀甲船を作った全羅南道麗水市(チョルラナムド・ヨスシ)でそれぞれ李舜臣祝祭が開かれている。慶尚南道(キョンサンナムド)とソウル中区(チュング)は変わった企画を用意した。演出家の李潤澤(イ・ユンテク)氏に依頼して、ミュージカル「李舜臣」を製作し、昨日まで上演した。多くのイベントで力を分散させるよりは、ミュージカルという一つのアイテムで「選択と集中」を徹底する戦略だった。慶尚南道は忠武公が海戦で勝利した場所で、ソウル中区は忠武公が生まれた場所だ。
◆牙山・李舜臣祝祭の今年のテーマは「李舜臣のリーダーシップ」だ。リーダーシップに関心が集まるのは、経済危機と国民世論が分裂するなかで李舜臣のような指導者が切実であるからだ。忠武公と縁を持つ自治体は、それぞれが縁故権を主張している。牙山、麗水のほかにも珍島(チンド)、南海(ナムヘ)、統営(トンヨン)などが祝祭を催している。忠武公が偉人のレベルを超えて絶対的な存在として認識されていることを物語る。素手で兵隊を集め、兵器を作って国を救った活躍ぶり神話に他ならなかったからだ。
◆しかし今年は、その李舜臣を巡って恥ずかしいこともあった。忠武公の第15代宗婦が、巨額の借金を作って牙山・顯忠祠境内の邸宅敷地を競売に出したのた。政府が1967年に顯忠祠聖域化事業を繰り広げながら国に売却することを求めたが、子孫たちが拒んだ土地だ。邸宅の敷地は文化財区域の中にあり、第3者が買っても毀損されることはないと思われるが、競りに出たことだけでも忠武公には恥ずかしいことだ。政府がいち早く国有化の手を打っていたら、という悔いが残る。さらに、宗家で保管していた忠武公の遺物が180億ウォンで闇市で売られたかも知れないとの主張も提起された。
◆忠武公の宗家が所蔵遺物100点あまりを文化財庁に寄託したという。忠武公に通達された教旨(王が臣下に下ろす文書)と書籍が含まれている。忠武公の遺物が宗家以外のところに流出する恐れはなくなった。この際、これ以上耳苦しい話が聞こえないよう、邸宅の敷地も国が買い入れて欲しいものだ。「不世出の英雄」忠武公のイメージをよく管理することも国の未来のためのことだ。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com