「社長、タイ米ありますか?」
「どうしよう、もう売り切れているんだけど。韓国米はどう?安くしてあげるから」
1日午後1時、京畿道安山市[檀園区元谷洞(キョンギド・アンサンシ・ダンウォング・ウォンゴクドン)にある米屋の「平澤農産」。店主のソン・ヒョンホさん(54)とあるフィリッピン女性との取引の真っ最中である。しばらく悩んでいたその女性は結局、価格の安い中国産米を選んだ。
しばらく経ってから、店先に1トンの貨物トラックが1台が止まった。黒っぽい肌色の30代の男が運転席から降りると、店主のソンさんが喜んで迎え入れた。
「おい!ラジャールじゃないか。いくら買うつもりなの?」
京畿道始興市正往洞(シフンシ・ジョンワンドン)でバングラデッシュ飲食店を経営しているラジャールさん(37)は、この店の常連客である。
ソンさんが夫と共に米屋を始めたのは1983年のこと。外国人はなかなか目にできない時代だった。26年の歳月が流れた今は、客10人中9人までが外国人だ。
ソンさんは、「いつかふと周りを見たら、外国人が多くなっていた」とし、「肌色もまちまちの外国人とこのように一緒に、同じ町で暮らすようになるとは夢にも思わなかった」と話した。
58ヵ国出身の外国人が住んでいる安山市は、韓国の代表的な多文化都市。昨年12月現在、33万1252人の全体市民のうち8.4%の2万7713人が外国人だ。それでここは「国境なき町」と呼ばれている。
安山市だけではない。我が生活のいたるところで外国人とのふれあいは、もはや日常的な生活となった。早いスピードで多文化社会へと進入しつつある。
国内に91日以上居住する「登録外国人」は85万4007人で、国民1000人に17.2人の割合となっている。1998年の登録外国人は14万7914人で、人口1000人当たり3.1人の割合だった。10年間で6倍も増え、もはや全人口の1.7%を占める水準にまで達している。短期や不法滞在者まで含めると、外国人は115万人程度と試算される。
このような変化は03年を基点に、外国人労働者と結婚移民者を中心に急激に進んだ。00年=21万249人だった外国人数は、03年=43万7954人へと2倍以上増えた。
今後10年後は外国人が全人口の3.6%、人口1000人当たり35.8%へと拡大されるものと見られる。法務部は、15年は外国人人口が167万6100人、20年は176万6900人余りに上ると見込んでいる。
法務部の秋圭昊(チュ・ギュホ)出入国外国人政策本部長は、「我が経済が発展を遂げ、人権が向上したことを受けて急激な多文化現象が起きている」とし、「押し寄せてきている変化であるだけに、外国人との調和と共存のための社会的な備えが急がれる」と診断した。
しかし、我々の準備はまだ足りない。根深い血統主義や単一民族の情緒は外国人への偏見や差別へとつながり、さまざまな副作用を生んだりもしている。医療や教育、福祉など、日常生活の中で困難を覚えている外国人らは、韓国社会に反感を抱くようになり、彼らの反韓感情は国家イメージや競争力をそぎ落とす要因となるためだ。
高麗(コリョ)大学・社会学部のユン・インジン教授は、「多文化家庭とその子供、外国人を受け入れて支援しなければ、今後社会的な費用は膨大に膨れ上がるだろう」とした上で、「グローバル時代を迎えて多文化家庭は増えざるを得ず、彼らを活用する積極的なシステムを作らなければならない」と語った。