金剛山(クムガンサン)観光客射殺事件を調べている政府の合同調査チームが、模擬実験を通じて北朝鮮の主張とは違う2つの重要な「科学的推論」を提起した。
合同調査チームによると、北朝鮮側との主張とは違い、被害者の朴氏は100メートル以内で近接照準射撃を受けており、発砲当時、朴氏は立ち止まっていたかゆっくり歩いていた状態だったということだ。合同調査チームは確実な答えは控えたものの、北朝鮮軍が意図的に朴氏を射殺した可能性が高くなった。
▲100m以内で立ち止まったか歩く女性を射殺〓調査チームは27〜28日、事件現場と条件が似ている江原道高城郡(カンウォンド・コソングン)の海岸で朴氏と身体条件が同じ50代の女性とマネキン、北朝鮮軍が朴氏を射殺した時に使ったAK—74小銃を使って模擬実験を行った。
100メートル以内での近接照準射撃という証拠は2つ。まず、射撃実験の結果、北朝鮮軍が3発の銃を撃って朴氏のお尻と背中に2発を命中させるほどの命中率が出るためには、依託射撃(銃を固定して撃つ射撃)の場合、射撃距離が100メートル以内という結果が出た。
北朝鮮側の主張通り、北朝鮮兵が走り逃げる朴氏を追いかけながら「立って撃った」場合は、60メートルという結果が出た。
射撃当時、朴氏が立ち止っていたか歩いていたという推定は、遺体の剖検と服の状態からも推定できる。銃弾が貫通した傷が地表面と平行だったからだ。また、ワンピースの上に着ていたシャツにも銃弾の跡があり、朴氏が走っていないことが分かる。国立科学捜査研究所の金ドンファン銃器研究室長は、「朴氏が走っていたら、シャツが飛ばされシャツには銃弾の跡が残っていないはず」と述べた。
▲太ももの傷は「意図的な射撃」を暗示〓事件当日の11日剖検された朴氏の遺体には、太もものところに傷があった。調査チームは模擬実験を通じ、この傷が銃弾が朴氏の足の近くに撃たれ、貝の皮や石などが飛んでできた可能性を提起した。。
金室長は、「太ももに衝撃を感じた朴氏が立ち止まり、その後、背中やお尻に銃を撃たれた可能性もある」と述べた。このような推定が事実であれば、北朝鮮兵は立ち止まった朴氏を追いかけて捕まえることもできたのに、銃を撃って射殺したことになる。
これはこれまで北朝鮮が現代峨山(ヒョンデ・アサン)を通じて説明した内容を覆すことだ。北朝鮮は12日、名勝地総合開発指導局の談話で、「空砲弾まで撃ちながら、重ねて止まるように指示したが、逃げ続けたので射撃するしかなかった」と主張した。
現代峨山の関係者らは、尹万俊(ユン・マンジュン)社長が訪朝から帰った16日以後、「北朝鮮兵は足が抜ける砂場を走り、朴氏は比較的に表面が平らな海辺を走っていて、距離が広がったため、銃を撃った」と北朝鮮側の主張をそのまま伝えた。
▲意図性と偶発性の確認のため、現場調査を貫くべき〓北朝鮮兵が銃を撃ったのが意図的なのか偶発的なのかについて、調査チームは、「明らかなのは、兵士が銃の照準管を通じ、目標の動きを正確に知っていた」ということだけだと述べた。
銃撃に意図性があったかどうかは、△朴氏が軍の警戒地域のどの地点までいつ頃立ち入ったのか△北朝鮮兵が朴氏をいつ発見して射撃直前までどのような措置を取ったのかにかかっている。
これに対し、北朝鮮側の主張があるだけで客観的な証拠はない状態だ。調査チームは模擬実験の結果、朴氏がホテルを出て北朝鮮側の主張通り軍警戒地域の800メートルの地点まで立ち入ってから、500メートルを逃げて戻るには約31分がかかったものと推定された。
しかし、朴氏が当日午前4時18分にホテルを出て、遅くても5時16分前には死亡したという証拠があるだけで、現場調査なくしては科学的な推論が不可能である。
ある北朝鮮専門家は、「北朝鮮が韓国政府の度重なる現場調査要求に応じないのは、現場を見せると不利なことがあるためではないか」と述べた。
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