三星(サムスン)裏資金疑惑事件の特別検察官(特検)チームの尹晶石(ユン・ジョンソク)特別検事補佐(特検補)は、この事件の捜査を「戦争」に喩えた。それほど大変な戦いだという意味である。三星の役員らによる相次ぐ出席要請拒否については「小さな戦闘」と話した。特検チームは約10日間、参考人たちを呼んで調べているが、これといった進展は見られないようだ。裏資金の造成手段である借名口座が存在するという関係者の決定的な陳述があった後、三星側の「口止め」が強化されたためであるようだ。特検チームは一昨日、さらに強い意志を見せるために三星が「意図的に」捜査を妨害していると、会見を通じて強く非難した。
◆この事件ほど場外での攻防戦が熾烈なケースも珍しい。趙俊雄(チョ・ジュンウン)特検は捜査について露骨に不満な態度を示す三星に対し「自分たちが罪を犯し、その証拠を無くすために帳簿を隠し、操作し、捜査を受けないために出社せず、あちこちに逃げまわっているので(我々の)仕事が進まない」と非難した。さらに趙特検は「自分たちは間違っていないのか、または間違ったことがあっても『堂々と捜査を受ける』との態度を見せれば、企業活動に支障が出るようなことではない」と話した。正論である。
◆しかし、まだ召喚の対象者らが被疑者なのか参考人なのかも区別できていない初期の捜査段階に過ぎない。彼らの実名や顔がマスコミを通じて公開されれば、個人のプライバシーが侵害されるだけではなく、所属企業の海外営業にも大きな損失を与える場合もある。特検チームは企業の営業利益と役員の権利を尊重し、保護しなければならない義務がある。「小さなことのために大きなことを害する」愚かさを犯してはならない。捜査の正道を守りながら協力を求めるのが公権力行使の正しいやり方だ。
◆しかし、三星側の捜査妨害も決して正当化することはできない。趙特検は「あるCEOは重要な海外契約を理由に出国禁止命令を取り下げてほしいと求めてきて、捜査を受ければ出国を認めると言ったら、今度はTVカメラに(本人の顔が)露出することへのプライバシーの問題提起をしてきた」と話した。押収捜索の過程でコンピューター資料を毀損した社員もいた。このような姑息な態度がむしろ「グローバル三星」のイメージをダウンさせることもあり得ることを三星は知るべきであろう。
陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com






