全羅北道完州(チョンラブクド・ワンジュ)の林呈鎏(イム・ジョンヨブ)郡守は昨年、就任直後、ワイン産業特区への予算支出を停止させた。ブドウ栽培団地の造成やワイン工場の新築などだけに、国費や郡費39億ウォンを投入したが、ワインの市場性や商品性がないという評価が出たためだ。巨峰など高級ブドウが多く生産される完州だが、前郡守が、外国産醸造向けのブドウを露地栽培した結果、風土に合わず失敗した事例もある。林郡守は、「各界の意見を聞いた結果、ワイン事業をあきらめ、施設をジャム工場に変えた」と語った。
◆政府では先週、完州郡のワイン産業特区の指定を解除した。05年、特区制度の導入以来、初の解除となった。政府では、「完州郡がワイン工場の用途を勝手に変更するなど、特化産業を中止したために解除した」と主張しているが、林郡守は、「予算がさらに浪費されるのを防ぐため、解除を申し込んだ」と話している。当初、この事業は、「ブドウバレーの造成」などを掲げ、05年から10年間、国費や郡費、農家の負担や民間資本など、計141億ウォンを投資する計画だった。特区の指定がそのまま続けば、予算の浪費はさらに大きかっただろう。
◆政府で定めた「地域特区」が先週、10区増え、計96区に上る。いわば、全国の特区化だ。特区では地域の特化事業を推進するうえ、一部の行政規制が免除される。ひっ迫する自治体の予算から事業費も当てなければならない。政府では足りない国庫から「ボーナス」の事業費を支払う。全国で「条件だけ整えて、国からの補助金を受け取るための」競争が繰り広げられる。しかし、昨年の政府評価の結果、24特区のうち17区が「評価が難しい」とか「成果が足りない」という結果が出た。
◆1979年、日本の大分県の自治体で当選した平松守彦が始めた「1村1品」運動は、地方政府の支援すら拒む、地域の自主自立運動だ。「全国の均衡発展」を叫んだわが国の政府も、この運動を参考にしたはずだが、韓国の地域特区は、中央政府が関与して金をばら撒くやり方だ。その恩恵は誰が享受するのだろうか。林郡守は、「事業能力や投資余力の足りない業者たちの土地への投機を手助けするのではないか、注意すべきだ」と語る。
洪權憙(ホン・クォンヒ)論説委員 konihong@donga.com






