「私は憲法を順守し、国家を保衛し、…国民の自由と…」。03年2月25日、ソウル汝矣島(ヨウィド)の国会議事堂前で行われた大統領就任式で、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が述べた就任宣誓の内容だ。憲法第69条に規定された就任宣誓の内容は、大統領に対する国民の神聖な命令である。その中でも憲法守護の義務は、大統領の最も重要な責務だと言える。しかし、盧大統領は就任1年後の翌年3月、国会によって弾劾の審判台に上り、職務停止するという汚点を残した。
◆弾劾審判は結局、憲法裁判所裁判官の多数意見で棄却されはしたものの、弾劾訴追を受けた初の現職大統領という不名誉を拭うことはできない。「取材支援システム先進化方案」も、言論の自由を保障した憲法に違反する重大事案である。憲法が志向する自由民主主義の価値を真っ向から否定しているからだ。国民がこの国の主人(憲法第1条2項)であり、言論の自由(憲法21条)と知る権利をもつという憲法精神を踏みにじる暴挙である。
◆言論の自由は、大韓民国の政体である民主共和国(憲法第1条1項)を実現するための基本的な条件だ。共産国家や専制君主国家と違う点が、まさにこれである。言論の自由なしに国民が言いたいことを言い、政府の行動を詳細に知り、監視することはできない。今回の措置は、政府がごまかしているように、取材システムの次元の問題ではない。「先進化」とは程遠い。自由民主主義の本質的価値を侵害するものと見ることができる。一部の学者は、殺憲とも言う。憲法を破壊する軍事クーデターをほうふつとさせる。
◆ブリーフィング制度による一方的な政策広報と取材の事前許可は、言論を殺すのみに止まらず、国民を愚民にする。国の主人である国民とその代弁者である言論の監視を受けないという宣言だ。これがいわゆる「参加型政府」という現政権の中身である。保守言論への染みついた憎悪のため、大統領就任式の時に行った宣誓は忘れたらしい。自由民主主義の価値を破壊する悪意を持った政権をどうして「善意」と見ることができようか。
陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com






