外交を含む国家政策の樹立と執行には、国民の意思が必ず反映されなければならない。それが国民主権の憲法精神と合致する。国家の安危、すなわち国民の生命と財産がかかった安保政策は言うまでもない。
知識人たちまで大々的に乗り出し、戦時作戦統制権の性急な返還に反対している状況だ。私たちは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の安保政策が、国民の意思を十分に反映するどころか、真正な「憂国衷情」に逆らっていると考えざるを得ない。
約720人の人文社会分野の知識人たちは昨日、先進化国民会議が主導した戦時作戦権返還反対の共同宣言文に署名した。宣言文で彼らは、「国民的論議と合意にもとづき慎重に処理されなければならない国家安保に関わる重大事案が、政治優先的に拙速処理されていることに対し、多いに憂慮せざるを得ない」との意を明らかにした。政権の戦時作戦権返還推進が、「国民の代表性」に基盤を置いていないことを指摘したのだ。国民統合に努めなければならない政府が、国民の代表性もない政策で国論を分裂させていることに対する警告に違いない。1980年代の民主化運動後、知識人たちがこのように大挙参加して共同宣言文を発表したことは極めて異例のことであり、決して軽く無視することはできない。
知識人たちは、盧大統領が戦時作戦権返還を主権問題と連結させることを特に警戒した。彼らは、「政府は、戦時作戦権問題を安保の効率性ではなく、主権または自主という政治的観点に焦点を合わせて政治問題化している」と説明し、「反米、反同盟に自主という外被で覆い、戦時作戦権を単独で行使しようという試みは、真正な自主国防の道ではない」と叱咤した。
彼らの宣言は、歴代の国防長官および軍元老、予備役4つ星将軍、陸海空軍士官学校総同窓会などの予備役団体、在郷軍人会、韓国キリスト教総連合会などの反対声明やデモに続くものだ。戦時作戦権返還反対の世論が、韓国社会にどれほど広範囲に広がっているのかを示している。11日には、歴代の警察総帥たちも立場表明をする予定であり、8日には、保守団体である国民行動本部がソウル市庁前で大規模集会を開く。
国策研究機関である韓国国防研究院までも昨年12月、外交通商部の依頼で作成した報告書で、戦時作戦権早期返還を含む現政権の安保政策の非現実性を指摘した。報告書では、「参加型政府の国家安保戦略は、現実的な青写真と言うよりも、抽象的で理想的な概念の羅列以上のものを見せていない」と主張し、「この延長線上で提示された『協力的自主国防』や『北東アジアバランサー論』などの概念は、国民世論を統合するよりも、内部論争の素地を拡大再生産した」と批判した。
参加型政府の初代国防長官を務めた鉠永吉(チョ・ヨンギル)氏が一昨日、東亜(トンア)日報への寄稿文で、「もし、国際法上の厳然な独立国家である北朝鮮を米国が攻撃して戦争が起こった場合、連合戦時作戦権の解体で第3国の立場になった韓国は何ができるのか」と反問したことに対し、現政権の人々は、はたしてどのように答えるのだろうか。親北朝鮮自主が、むしろ北朝鮮を苦境におとしめるかもしれないという事実を分かっているのだろうか。
北朝鮮がミサイル発射実験に続き、核実験まで準備しているという観測が出ているほど、韓半島と周辺状況が揺れている。金大中(キム・デジュン)政府以来8年半の間、太陽政策で北朝鮮を変化させようとしてきたが、北朝鮮は変わることなく、韓国の対北朝鮮警戒心と安保意識だけが武装解除された。このような状況では、盧大統領はいかなる理由であれ、同問題を性急に片付けようとしてはならない。
14日にワシントンで開かれる韓米首脳会談が、戦時作戦権論議の方向を正す転機にならなければならない。米国側は、同問題を先に取り上げる考えはないが、盧大統領が先に話を切り出せば、協議する考えだという。盧大統領は、返還論議の保留を提案しなければならない。
戦時作戦権返還は次の政権に送り、韓半島および北東アジアの安保状況と韓国軍の軍事力増強を見計らって決定することが道理である。大韓民国の体制と理念を守る責任がある政府が、実益のない「自主」に埋没し、悪手を指した場合、次の政権はもとより歴史に罪を犯す結果に招く恐れがある。






