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[オピニオン]「財布取り締まり」戦略

Posted April. 05, 2006 02:59,   

「北朝鮮の大量破壊兵器が無用の長物になる状況づくりが必要だ」。米国のロナルド・レーガン政府当時、旧ソ連転覆プログラムを立案し、今は国務長官のライス氏は、ブッシュ政権発足直前に発表した2000年の論文で、このように主張した。多くの専門家たちは「北朝鮮の軍事施設に対する精密打撃」を意味するものと解釈したが、事実は「北朝鮮の金の取り締まり」だった。

◆米国の金融制裁で、年間5億ドルと推算される偽ドル製造、麻薬、ミサイル取り引きによる不法資金が全面凍結になるや、北朝鮮指導部の統治資金が断ち切られた。そのうえ、先端兵器部品を購入できないため、大量破壊兵器の製造販売が不可能になった。最近訪朝した人たちは、北朝鮮官吏らが「苦しい」とよく言ったと伝える。金正日(キム・ジョンイル)総書記は1月、中国の胡錦濤国家主席に会って、「米国の金融制裁のせいで、体制が崩壊するかもしれない」と心配したと、ニューズウィーク最新号が「財布の取り締まり」という記事で報じた。

◆ブッシュ政府は、発足直後から北朝鮮経済に対する研究を始め、3年前からは、北朝鮮の不法資金遮断のための汎省庁合同作業を実施してきた。緻密な網を準備したわけだ。韓国政府のある関係者は「金融制裁が予想外の効果を収めると、米政府では強硬派の声が大きくなっている」と伝えた。「6者協議無用論」まで広がっているとのことだ。

◆活路のとざされた北朝鮮は中国に傾いている。中国の対北朝鮮投資は、03年の100万ドルから昨年には1億ドルに急増した。両国の貿易規模は昨年16億ドルで、南北貿易(11億ドル)を上回った。中国は茂山(ムサン)鉱山の50年採掘権も得た。北朝鮮が中国の「経済属国」になるのではないかという憂慮さえ出ている。北朝鮮は、米国の新政府が発足するまで、「3年間ふんばる」構えだと言われている。しかし、誤算のようだ。政府が変わっても米国の対外戦略は急変しない。むしろ心配なのは、韓国政府が「同じ民族」を掲げ、北朝鮮の「ねばり」を助けて、禍根を育てはしなかったのかという点だ。

李東官(イ・ドングァン)論説委員 dklee@donga.com