
●痴ほうについて正しく知ろう
痴ほうはすべて治療が不可能だと思いがちだが、そうではない。もちろん、アルツハイマー病は、まだ「特効薬」のない状態だ。しかし、早期発見さえすれば、血管性痴ほうは原状回復までは無理としても病気の進行を防ぐことができる。一部の痴ほうは早期発見さえすれば100%完治も可能だ。
痴ほうの症状は多様で、簡単に要約することはできない。ただ物忘れとの関連性はある程度まとめることができる。
40代なら、物忘れと痴ほうは関連がないと考えていい。なにかを忘れたとしても、誰かがそばでヒントを与えて思い出したら、それは物忘れに過ぎない。痴ほうであれば、ヒントを与えても記憶が戻らない。
しかし、老人の場合は、痴ほうと物忘れを区分してはいけない。多くの老人たちに、初期に物忘れのように見えたのが、症状が悪化して痴ほうと判定される場合がたびたびあるからだ。
米国で開かれた第1回国際痴ほう予防学術会議では、痴ほう予防習慣を提示した。
これによると、まず、ふだんから脳を頻繁に使わなければならない。パズルや囲碁を楽しもう。電話番号を聞いて10秒後に思い出すゲームもいい。人と付き合い、ストレスと不安が少ないほど、痴ほう危険度も低い。両親に社会的な活動を勧めよう。
この他、定期的に運動をし、ビタミンCとEが多い果物と野菜、ヨウ酸が豊富な穀物類を多く摂るのもいい。
●初期の症状に注意しよう
痴ほうの50〜60%を占めるアルツハイマー病患者の初期症状は次のようなものだ。このような時は病院で精密検査を受けたほうがいい。
まず、記憶力が大きく落ちる。特に最近のことに関する記憶力が劣ってくる。一方、家族の名前や住所、電話番号など長く使っていた記憶は、初期にはよく憶えている傾向がある。
単語がしばしば思い浮かばずにもじもじする。「なんか、あれ、ほら、あるじゃない」などの表現が増える。日付の計算がうまくできないのも初期の症状だ。
昨年、ソウル大病院の痴ほうクリニックで開発した痴ほう早期発見自己診断(SIRQD)表を活用してみるのもいい。
においを活用するのも一つの方法。
最近、米コロンビア大のマティアス・テバート博士は医学専門誌「神経学会報」に痴ほう患者たちが特定のにおいを憶えることができないという新しい事実を発表した。痴ほうの前段階または痴ほう患者であればあるほど、ハッカ、ニッキ、イチゴ、ライラック、パイナップル、煙、せっけん、天然ガス、レモン、丁香など10種のにおいを区分することができなかったという。
医師らは「追加検証が必要だが、自己検査としてはそれほど無理がない」との反応だ。
(ヘルプ=ソウル大学病院神経精神科の李ドンヨン教授、セブランス病院神経科の孫榮鎬教授)
corekim@donga.com