人生は短くて芸術は長い。芸術家は死んで消えるが、彼が残した文学、音楽、絵は長い間生き残る。現世に評価されなかった芸術家が死んだ後、光栄を享受する例も珍しくない。しかし、バレーだけは例外だ。芸術は短くて人生は長い。身体が芸術の素材であり道具でもあるバレエは、身体が衰えれば芸術も終ってしまう。1960年代を風びしたマーゴ・フォンテーンは徹底した自己管理で40代でもプリマ・バレリーナの座を守ったが、多くは30代前後に自ら舞台を離れる。
◆ロマンチック古典バレエは、英国、フランス、ロシア、デンマークなどの国が強い。王室と貴族が熱烈に後援したためだ。ロシアが社会主義革命後も、一番貴族的な芸術のバレエだけを良く保存したのはアイロニーである。独裁者のスターリンもモスクワ・ボリショイ・バレエとレニングラード・キーロフ・バレエの愛好家だった。ここにきて、中国とキューバがバレエ強国に浮上しているのも興味深い。韓国も1990年代に入って、力量のある踊り手が相次いで出現し、ファンの関心も熱い。
◆古典バレエの目玉はやはり独舞を踊る主演の女性バレリーナだ。バレエ団の人気と名声、公演がヒットするかどうかはバレリーナ一人にかかっていると言っても過言ではない。19世紀の伝説的バレリーナ、ファニー・チェリトの場合、誰かが彼女の上がり湯を盗み、売って大儲けするほどだったそうだ。今日のハリウッドスター顔負けの人気ぶりである。今も世界各国の数多くのバレエの妖精が、トップバレリーナを目指して厳しい訓練も厭わずにいる。
◆これを一番ドラマチックに見せてくれる「実物」が、バレリーナであるカン・スジン(37)の足だ。2年前テレビを通じて彼女の「むごたらしい足」が最初に公開されると、ファンは動転した。群舞でソロに抜擢された後、一シーズンに250足のトーシューズ(Toe Shoes)を履きかえるほど猛練習した結果だ。この事実を知ったファンらは、数百年を耐えてきた枯木のように捻じれ、たこのできた彼女の足を「世の中で一番美しい足」と呼んだ。公演のために来韓した彼女は、足は大丈夫かと聞く記者たちの質問に、「さらに奇形的になって、夫は『ピカソ式』に変わっていくと言う」と笑いながら話した。本当に彼女の足に「口付けをしたい」。
呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com






