ドイツの日刊紙「ビルト」は30日、イラクのサダム・フセイン元大統領が、逮捕から2週間経ってようやく主要な情報について供述を始めたのは、米中央情報局(CIA)の「心理的拷問」が功を奏したためだと報じた。
イラク統治評議会(IGC)のイヤド・アラウィ議員は29日「フセイン元大統領が、外国に隠し持っていた400億ドルの資金を管理している人々や、兵器貯蔵施設の情報をもっている人々の名前を自供した」ことを明らかにした。
ビルト紙は、これと関連して「CIAが、アルカイダの幹部など、他のテロリストを捕まえた時に使ったのと同様のやり方で、フセインの抵抗意志を無力化させている」と伝えた。
ビルト紙によると、CIAは親指をひねるなどの(物理的な)拷問はないものの、閉鎖的な空間の中で時間と空間についての感覚を無くしながら、一種の心理的拷問を加えていると報じた。例えば、目隠しをした状態で他の場所に移送して方向感覚を失わせたり、寝る時間を不規則にし、明るい照明と完全な暗闇、静かな休息と騒々しい騒音を繰り返して時間の感覚を失わせるといったことだ。また、飲み水や食べ物を十分与えては急に減らしたりもするというのだ。
取り調べにあたる担当官たちはまた、フセインの知られざる暮らしの秘密を掘り出しては不安心理を造成したり、対話の内容や息遣いまで一々録音して、抵抗感をなくしているという。さらに新聞は「これまで、このような拷問に長く持ち堪えた人は居らず、フセインもまた長くはもたないはず」だと伝えた。
ビルト紙は、あるCIA要員の言葉を引用して「フセインは虚栄心の強いおしゃべりであるため、新聞が成功収めるだろう」としている。一方、米国は、フセインの拘禁場所をアフガニスタンかタイなどに移すこともあり得ると報じた。現在、米軍はフセインがイラク国外に移されたという説を否定しながらも、所在地は明らかにしていない。






