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[オピニオン]ぶどうのせいで…

Posted November. 16, 2003 23:09,   

ぶどうの栽培は、メソポタミア流域が起源とされ、酒を造り始めたのは紀元前6000年頃からだという。ぶどう酒が隣国のエジプトに伝わると、上流階層はぶどう酒を、一般人たちは主としてビールを飲んでいたというが、なかでも絶対統治者のパラオたちは、死後の旅の苦痛を紛らそうとしたのか、墓の中までぶどう酒の壷を持って行ったといわれる。紀元前5世紀の歴史家、トゥキディデスが「地中海沿岸の人々が野蛮な状態を脱し始めたのは、オリーブとぶどうの栽培を始めてから」と記したのは、西洋文明とぶどう酒の関係を端的に覗かせている。

◆近代に至り、ぶどう酒の生産と消費においては、フランスが群を抜いていた。19世紀の初めごろ、ヨーロッパを戦争に巻き込んだナポレオン(1769〜1821)は「勝てば、当然シャンパンを飲むべきで、負けたら負けたで、慰めるために飲まなければならない」と、大言したといわれる。ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガルなども有名なぶどうの産地である。ヨーロッパ人が定着した南・北米大陸(米国やチリなど)とオーストラリアも、近ごろは立派なぶどうの生産地と化した。ぶどうの栽培は、シルクロードを辿り中央アジア帝国を経て中国に伝わった。今日、中国新疆省のタクラマカン砂漠周辺の敦煌、トルファンなどを旅していると、ぶどうを干している家々を見かける。

◆ぶどう酒を飲む習慣が韓国に普及したのは、経済開発によりようやく食べることに事欠かなくなったころ「マジュアン」が出まわりはじめてからだった。近ごろは、懐事情に余裕のある人々の間で「フランス逆説」が功を奏したのか、レッドワインが旋風を巻き起こしている。「フランス逆説」とは、米国人が自分たちよりたくさんの肉を食べ、喫煙者も多いフランス人に心臓病の発生率が低いとして付けた言葉であるが、医療関係者は、その秘密をフランス人が好んで飲むレッドワインにあると説いた。年取ってからの浮気が恐いというが、世界一を誇るウイスキー市場を買いあさる、日本をはじめとする東洋の成り金たちが、ぶどう酒市場でも頭角を現しはじめた。韓国とて例外ではない。

◆数日前、韓国の2大航空会社が貨物機のチャーター便を送り込み、フランス産ボジョレ・ヌーボー350万瓶を、韓国と日本に運送した緊急空輸作戦の報道が耳目を集めた。航空会社は運送費収入に嬉しさを隠せないようだが、国民の消費形態が気にかかる。良く言えば新鮮なワイン、率直に言うと、どぶろくのようなボジョレ・ヌーボーを好むのは、若いサラリーマンたちだそうだ。中にはクレジットカードの借金が払えず、信用不良に陥った者も少なくないはず。ぶどうのために、チリとの自由貿易協定が難航している現状だ。ボジョレ・ヌーボーを減らして、チリ産のワインを飲むのはいかがなものだろうか。

金秉柱(キム・ビョンジュ)客員論説委員(西江大学教授)pjkim@ccs.sogang.ac.kr