続々と伝わる台風14号の被害は、天変地異を超えて国難に近いと言った方がいいくらいだ。政府は、首相の働きかけによる関係閣僚の対策会議を開いたのに続いて、大統領自ら被害現場を訪れ、災難克服への意志を示した。与野党も党派を超えた支援を約束した。国民の機嫌を損なうような政争は中止すべきだ。
最も肝心なことは迅速な復旧対策づくりと、人的支援である。そのためには、何といっても「現場」の声がそのまま伝わらなければならない。机上の空論から出される対策は、予算および義援金の無駄遣いをもたらし、被災民の再起への意欲を挫きかねない。したがって、政府と全ての公務員は、自分が台風被害に遭ったつもりで事態の収拾に乗り出すべきだ。与野党の議員や上級公務員の顔を立てるための現場訪問や、相手を意識した機嫌取り用支援策の乱発などは、災難克服に役立つどころか、かえって害になる可能性がある。
災害地域の宣布と、災害対策に関連した予備費の支出は、早ければ早いほどいい。前回の台風被害からまだ癒されていない地域が、再び台風14号の被害に遭ったのは、復旧費用の支援が延び延びになっていたことと無縁ではないだろう。与野党が災難克服に向けて、速やかな補正予算の編成に力を合わせなければならない理由がここにある。
このような時ほど、軍や警察、消防隊員の労苦が目立つ。彼らへの関心と支援もまた、疎かにしてはならない。人力と装備を保有する企業が自主的に災害復旧に乗り出した場合、工事受注の優先権を与える方策も、考慮する価値がある。
何より大事なことは、国民レベルの支援とボランティア精神であろう。国民一人が被災民一人の面倒を見るという心構えで取り組めば、災難の克服はもっと早まるはずだ。台風でりんごの被害に遭ったある果樹園農家の主人は「私より遥かにひどい被害に見舞われた人が一人や二人ではないはず…」と言いながら、かえって他の被災民を気遣っていた。この、純朴な民心の中から、我々は災難克服に向けた希望と可能性を見出せるのだ。苦痛を分かち合うとき、それは希望となる。






