数日前、イラクに派遣された米軍兵士が、フセイン元大統領の2人の息子を6時間の交戦の末、射殺した。米CNNや英BBC放送などの各国の放送は、この知らせを一斉に「緊急ニュース」として取り上げた。報道は、米軍が射殺した人物が果たしてフセインの息子かどうかということと、イラク内部の反応に焦点が合わせられた。当時フセインは、肉声録音テープを通じて「米国に対する交戦」を訴えていた。しかし、フセインの息子の死亡の知らせを受けたブッシュ米大統領は、「フセイン政権は終わり、二度と戻らないことを確認した」と、得意満々に語った。
◆同日、スウェーデンで開かれた第17回世界コミュニケーション学会は、世界の暴力とその解決案について討論を繰り広げた。興味深いのは、今回の学界に参加したイスラム学者の反応だった。マレーシアとサウジアラビアなどから来た学者たちは「我々は、すべてのテロに反対する。ムスリムはテロや暴力集団ではない」と抗弁した。彼らは、イスラムに対する世界的な偏見と憎悪に憂慮を表わし、米国の力を恐れた。米国がまた他の暴力的対応を試みるのではないかと戦々恐々としていた。
◆一方、同学会に参加した米国の学者は、同時多発テロ後の米国の対処方式について言葉を控えた。彼らは、ブッシュ政権の国際戦略に対して、否定的な考えを持っているようだった。テロに対処することは正当だとしても、それが暴力につながるのは正しくないとして、憂慮を示した。しかしある学者は、同時多発テロ以後高まった米国人の愛国心は、国際問題への多様な論議を抑制し、統一された見解と方針だけが拡散している、と米国内の雰囲気を伝えた。学者は、個人的にはブッシュの暴力的な対応方式に反対しても、公にはそのような見解を明らかにできない「見えない圧迫」が存在するという。
◆国際問題に関する限り、もはや世界には対話と討論が消え去り、力と暴力が蔓延するムードが定着している。善と悪、味方と敵、平和と憎悪、文明と野蛮、キリスト教とイスラムなどの対立と葛藤の構造は、結局世界を「われわれ」と「他人」という2重構造に2分している。そして、そのような対立は、絶え間ない暴力で深化している。世界コミュニケーション学会の終わりの席で、ある学者がこう語った。「国際紛争を解決するなら、まず相手の主張を傾聴しなければならない。ブッシュ大統領を招待して、傾聴がどれほど重要かを教えたい」。
白善璣(ペク・ソンギ)客説論説委員(成均館大学教授)baek99@chollian.net






