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[オピニオン]ことばの代金

Posted January. 05, 2003 22:48,   

馬が重要な交通手段であった頃は、馬に乗って出かける(出馬)ということは、平時でも一大事に臨むことであり、戦時においては戦場に向かうという意味としてとらえられていた。そう言えば、このごろ出馬という言葉を、選挙に立候補するという意味で使っているが、これは理にかなっていると言える。平時の重要なことに臨みながらも、戦場に出ることに劣らないくらいの戦闘的なことに臨むからだ。出馬という言葉がなくても、馬に乗っていたころ、すでに選挙制度があった米国では、実際に馬に乗って選挙運動をしていたようだ。アブラハム・リンカーンが州の下院議員か連邦の下院議員かに立候補した時、一人で馬に乗って遊説をしながら、カネを使わなかったために、とある後援者が寄付した200ドルかを、そっくり残して返したというエピソードが伝えられているからだ。

◆先の第16代大統領選挙では、どれくらいの「出馬費用」がかかったのだろうか。まず、ほとんど返してもらえる可能性の薄い5億ウォンの供託金を払わなければ、出馬そのものができない。多くの人たちが、これを工面できなかったために出馬をあきらめている。選挙費用はそれだけではない。いざ、リンカーンの馬に当たる車両からして容易なことではない。大統領選の終盤近く、両政党が公開した選挙費用の明細をみると、ハンナラ党は254億ウォンのうち21億ウォン余りを、民主党は312億ウォンのうち23億ウォン余りを、車両と設備の賃借料として出費しているという。馬の代金にしてはぼう大な金額である。

◆ところが、本当にカネを使っている部分は別にあるのだ。それぞれ170億ウォン、183億ウォン余りを投じたといわれる広報宣伝費用である。馬の代金よりことば(馬とことばは、韓国語では同じ発音)の代金に8〜9倍の費用を使っている。烏騶馬や赤兎馬(中国の名馬、項羽と呂布が乗ったとされる)といった名馬の値段など、比べ物にならない。それもそのはず、光の速度で疾走するテレビやインターネット広告、わずか数時間で三千里津々浦々まで届く新聞広告費がほとんどを占めていたはずだから、千里の駒の値段の数十倍かかったとして、驚くほどのことではない。

◆問題は、ことばの代金がここで終らないところにある。選挙終盤、行政首都の移転問題で、カネのかからないものだけ移転するとして、また鄭夢準(チョン・モンジュン)代表陣営に対し、早まらずに大統領候補を選ぶ党内予備選挙に備えるように言ったことで、あわや払わされるはめになりかけたことばのつけ(代金)は、これから払わされるかもしれないそれに比べると、むしろ安い方かもしれない。最も高いことばの代金は、選挙運動の中で次々と吐き出した公約の検証課程で、厳密に計算されることになるだろう。年間7%の経済成長、250万口の雇用創出、50万人のお年寄りに働き先を提供するといったことばは、単なるしゃれや原論レベルの言及だったということで、許されるようなものではないからだ。口先だけのことば(空約)だのなんのといいながら、レジの前でもめることのないように祈りたいものだ。

朴仁濟(パク・インジェ)客員論説委員(弁護士) ijpark2356@hanmail.net