米国と同盟諸国は、イラクが提出した大量破壊兵器(WMD)実態報告書を検討した結果、多くの事実がもれていると暫定的に結論を出した。このような記入もれが、米国にして対イラク戦に踏み切るほどの「重大な違反」であるか否かについては、まだ国際社会の合意が出されていないものの、米国と主要同盟諸国は戦争の準備に拍車をかけている。
▲「装甲車も通れるくらいの大きなすき」〓ニューヨークタイムズは14日、関係者の話を引用した記事の中で、米国と国連は、イラクの報告書がすでに1998年に国連兵器査察団に提出した報告書の一部のみに手を加えて加工し直したもので、記入もれが多すぎるとの暫定的な結論を出したと報じた。
米国のある関係者は、報告書が△98年の査察当時、行方が明確に究明されなかった550個のワサビ弾と150個の生化学弾の所在△イラクがここ数年間アフリカでウランの購入を試みた事実などがもれているとし「これらのすきは、装甲車が通ってもいいくらいだ」と語った、とこの新聞は伝えた。
英国のザ・タイムズも15日付の記事の中で、英国のある関係者が「報告書には、英国の情報当局がこの9月に公開した書類にも記入されているWMDに関する最新の明細について触れていない」として「この報告書は『でたらめ』」だと規定したと報じた。
国際原子力機関(IAEA)のモハメド・エルバラダイ事務総長も13日「イラクの報告書の核兵器の開発に関する部分(2400ページ)のうち、新しい内容はわずか300ページだけ」と語った。
ニューヨークタイムズは、ブッシュ政権がイラク報告書の記入もれを「重大な違反」と宣言し、イラクに対する軍事行動を正当化する名分とするかが、今後の課題として残されたと分析した。
一方、ハンス・ブリックス国連兵器査察団長は14日、イラク側に対してWMD開発に参画した科学者リストの引き渡しを求めたことを明らかにした。IAEAは、これらの科学者をイラク国外で取り調べる方策を検討している。
▲「深まる戦雲」〓サンデーテレグラフ紙は15日、英国がイラクとの戦争に備えて、来月初め航空母艦の艦隊を湾岸地域に派遣すると報じた。さらに新聞は、これはが英国最初の対イラク戦への参加となるはずで、英国政府は続けて地上軍2万人の派遣方針を、向う2週間のうちに発表するだろうと付け加えた。
また、ロシアのリア・ノボスティ通信は13日、政府の消息筋を引用し、イラクが、ルコイルなどロシアの石油会社との間で締結した油田開発契約を最近破棄したことで、ロシアがイラク戦に反対する名分がなくなったと報じた。
一方、ドイツの日刊紙ディ・ベルトは14日、米国がドイツ海軍に対し、北大西洋条約機構(NATO)軍の一員としてイラク戦への参加を要請してきたと報じた。
こうした動きについて、イラクのアジズ副首相は14日「米国の戦争は、現在米国を支援している他のアラブ諸国にまで広がることになるだろう」として、アラブ諸国に協調を呼び掛けた。
權基太 kkt@donga.com






