過度の負債で破産の危機に追い込まれた者に再生の機会を与えることは原則的に正しいことだ。仕事を持っているサラリーマンや自営業者で、ある程度負債を返済できる能力があれば、働けるチャンスを与えることは望ましい。こうした趣旨の下で、5年間負債の返済に最善を尽くした者にかぎり、残りの負債を帳消しする「個人回生制度」は必要だが、悪用される余地がないよう慎重に検討しなければならない。
個人回生制度は、会社法定管理制度を個人に適用させた「個人法定管理」に当たる。仕事に対する意欲があり、再生可能な人々を助ける目的にのみ最小限に適用されるべきだ。債務者が責任を持たなければならない部分まで過度に免責するとすれば、この制度は成功できない。「負債を返済しないで、倒産するまでふんばった方が有利だ」という認識を植えつけさせれば、信用不良者の量産防止というよりはむしろあおることになるからだ。
個人回生制度を乱発した場合、金融機関が貸し出しを回収したり新規貸し出しをはばかって、信用不良者を量産することもありうる。債権者が債務返済計画に対して異議を提起しても、裁判所が認めた場合は個人回生制度を適用できるようにするというが、債権者の犠牲を強要してはいけない。
この制度が成功するためには、何よりも破産者に対する社会の認識が変わらなければならない。現行法では破産宣告を受ければ、就職が困難になるほど各種の資格制限が厳しくなる。さらに電気工事業や消防管理士などの職業にも就けない。個人回生手続きが開始された債務者の場合も、実際に就職ができなければ回生制度は「見かけ倒し」のものに過ぎない。
現政権発足以来、個人貸し出しとクレジットカードの負債が大幅に増え、一所帯当たりの負債が3000万ウォン、信用不良者が250万人に達するほど信用危機が深刻な状態だ。個人回生制度が信用不良者を無条件に救済する措置だと認識されれば、われ先にと、まず貸し出しをしてから個人回生を申し込む事態が起きかねない。かりにも政府が国民のご機嫌取りのために信用不良者を救済する考えだとしたら、信用社会の定着は遠い夢のことになる。






