
暴力団を題材にしたコメディが幅を利かせている時期なので、映画「男、生まれる」はタイトルだけを聞くと、またもう一本の暴力団コメディかと誤解しやすい。しかし、この映画は、1980年代を背景にした純朴なコメデイ映画だ。いわゆる「ときめく」スターが登場するのでもなく、出来ばえは粗末だが温かく懐かしい。
地図にも載っていない小さな島村。99歳を迎える最高齢のおじいさんの最後の願いは「うちの村で一人でも大学生を出す」ことだ。その村で大学に行けるのは、高校を卒業してぶらぶらしているデソン(チョン・ジュン)とマング(ホン・ギョンイン)、ヘサム(ヨ・ヒョンス)の3人の青年だけだ。
村の人々は、ろくに勉強もできないうえ特別な才能があるわけでもない3人の青年を、どうやって大学に入れるかで苦心した挙句、ボクシングを教えて「特技生」にさせて進学させることを決定する。注目されたこともない元ボクサーで、今は村で娯楽室を経営している王(ワン)コーチ(李ウォンジョン)が特別指導教師として招へいされ、青年たちは村人に押される形でボクシングの練習を始める。
大学を出ていないと、まともな待遇を期待できなかった学歴重視の時代に対する風刺が下敷きになっているが、これは単なる下絵にすぎない。映画は「夢」についての話だと言っても良いほど、非主流で落伍者のように見えた3人の仲間の夢について頻繁に言及する。
女子大生を片思いするデソン、大学歌謡祭に出てみたいマング、島から抜け出て大きな世界に行ってみるのが夢のヘサム。3人はいきなりボクシングをやらされたが、この偶然な機会を各自の夢に向けた踏み台にしようと努める。3人を駆り立てながらボクシングを教えていた王コーチの本音も「夢を失えば私のように生きる。そうなってはならない」というものだ。映画の前半に流れる希望に対するうぶな信頼が、この映画を懐かしく感じさせている。
80年代に流行った長髪と復古風のファッション、国旗下降式、だらしない田舎チンピラたちのエピソードなど、80年代に対する風刺がわずかな笑いネタを提供しているが、「オーバー」が行き過ぎたり粗雑な場面が目立つ。王コーチ役の李ウォンジョンをはじめ、3人の若手俳優の安定した演技がなかったら、見栄えのない凡作に終わるところだった。
俳優たちのボクシングトレーニングは、元世界チャンピオンの洪秀煥(ホン・スアン)氏が直接担当した。演出は「天士夢」(チョンサモン)でデビューした朴ヒジュン監督。12歳以上以上観覧可。11日封切り。
金熹暻 susanna@donga.com






